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1958年6月発行 読谷村だより / 2頁

一九五九年度施政方針

一九五九年度施政方針 
読谷村長 伊波俊昭

 一九五九年度の予算審議を要請するに当りまして施政方針の大要と予算の概要を申し上げます。
一、地方自治法は民主主義の現理の地方行政への適用であると言われています。住民の住民による住民のための行政と云われる住民自治の現理に基きまして円滑な行政運営を行う為に先ず最初に役所職員の「公務員意識」即ち「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務」する団体に仕える意識奉仕者意識の確立に努める考えであります。
即ち役所に仕用される職員は全体の奉仕者であって住民一部の奉仕者でなく住民全体の奉仕者であり直接間接指揮を受けて働く任命権者や上司の奉仕者でもない。
 任命権者も上司も齎しく仕える住民全体の奉仕者であり無定量の勤務は否定され、勤務時間に限りはあるが、その職務の遂行については公共の利益の追求のみが要求され「公共の利益のため勤務」の意識を確立する。
二、行政は事務と技術の総体でありまして仕事をもっとも経済的に効果的に処理するためには、もっとも有効な技術を活用し、もっとも有用なさばきを考えなければならないと思います。行政の処理にあたる職員の事務と技術とがもっとも合理的に効果的に使われるように、職員の事務、技術の研修、機構組織配置の検討をなし行政効果を極大ならしめるように努力致します。
三、奉仕者意識を確立し事務と技術との合理的組合せにより事務の刷新合理化等積極的に行政効果の向上を図る所存でありますが課業の原則は納得ずくで(人の和)むりとむだをせず(適正処偶)に活動出来る場合が最も効率のたかい活動が出来ると云われて居ります。しかし行政事務は年々急速に増加しておりますので事務増加に伴う最小限の職員増を行う考えであります。総務課長の兼務している議会書記は専任書記をおき、書記兼務の消防運転手も専任運転手に、また従来の雇員二名は書記にして身分を確立し責任ある事務処理態勢を整え更に経済振興計画推進に伴う事業量の増加に対処して技手を一名増員する計画であります。
 戸籍整理事務の進捗に伴い政府補助も今年から打切る旨の示達もありますが行政状況報告で申し上げました通り新法施行に伴う住民登録や副本調製、諸届の移記等今後なお多くの戸籍事務が残されていますので戸籍整備員二名は存置して今後の事務処理にあてる考えであります。
四、財政の面では村の財政経済の状況に即応した合理的運営を図り、健全財政を樹立する所存であります。そのためには税の賦課算定方法の周知徹底を図ること徴税吏員に高度の知識と技術を修得せしめること、徴税計画を樹てて納税思想の高揚に努め村税徴収実績の向上を期すこと、村民所得額を適確に把握すること、固定資産に対する適正なる評価をすること等に万全を期し課税応納の現則に基いて公平に運営して行きたい。
五、村公民館(会議室)の建設
 現在の会議室は一九四九年役所事務室として政府によって建築されたものでありますが、御承知のとおり甚しく腐朽し今後の使用に堪えない危険な状態でありますので今年度一六○万円を投じて鉄筋コンクリート二階建の村公民館を建設し本村政治、経済、文化のセンターとして運営する計画であります。
六、火葬場の建設については数年前から迷信の打破や保健衛生の面からその早期建設を要請されていたのですが村民の要望に応えて今年度に四十万円を予算に計上し実現する計画であります。その運営について村営か委託経営か民営か更に検討を加えて健全な運営を図る所存であります。
七、結核対策は住民の保健衛生上最も重要な問題であります。本年度から三ヵ年計画で全村民の集団検診を行い公看による在宅治療の強化と相まって結核の早期発見に努め村民健康の増進を図りたいのであります。
八、育英事業については昨年同様事業を進める計画でありますが、行政状況報告で申し上げました通り一九五八年度までの貸与総額七○一、一○○円で今年度予算額を三○四、○○○円を累計しますと一、○○五、○○○円達しますので育英会の組織の問題や短期大学、大学院等に進学する者に対する問題等再検討を加えたいと思います。
九、住民福祉の増進を最も効果的にたかめるために、村単位の各機関団体の活動を尊重しつつ前年に引き続き補助金も交付してこれら機関団体の育成強化を図りたいと思います。
一○、経済に関する基本方策の確立は行政運営の基幹でありますので政府の第一次経済振興計画に相まって村においても昨年度経済振興基本計画を樹立してありますので計画の線に沿って推進いたしたいと存じます。経済振興の基盤である産業基本施設につきましては政府の災害復旧資金や移住資金による補助事業により整備強化する予定であります生産増強の方策としては昨年に引き続き耕地開拓、委託苗圃経営、農事実行組合の育成のための助成を行う糖業振興については甘庶新品種普及のための苗圃経営補助と農協の経営する製糖工場の施設改善に要する製糖工場の施設改善に要する経費に対して五○万円の補助計画をしております。施設欠陥は政府にも大きい責任であると考慮されますので五○トン工場を経営する中城、恩納、伊江の各村とタイアップして政府、立法院に対して強くその補償を要求し来期製糖から健全な運営が出来るよう努力致します。畜産は本村の経済環境と農業経営の面から和牛、豚、鶏に重点を置いていますが前年に引続き種畜購入補助と共に飼料作物としてのトウモロコシの種子購入補助畜舎設置補助を行う計画であります。また畜産の振興に駐在獣医官の果す役割は如何に大きいかは論ずるまでもありません。常時優秀なる技官を村に招致するため宿舎を建設するよう新しく予算を計上してあります。
 以上、一九五九年度予算審議を要請するにあたりまして施策の大要を申し上げましたが才入、才出予算総額九、○五五、九○五円で前年度より二、五○○、六八八円の増となっております。予算細部については助役をして詳しく説明させることにいたします。

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