一九五九年度行政状況報告(その三)
三 軍用地関係事務について
(一) 軍用地問題は四原則の貫徹を期して地料の引上げ一括払い反対損害の補償、新規接収反対等二、三年に亘り悩み続けたのであるが一昨年プライス勧告の報道と一括払の宣告書を受け我々地主の不満は爆発し二、三回に亘って地主大会住民大会を催して行政府 立法院の反省を促したその結果とうとう去年の六月主席及び立法院代表地主代表を渡米せしめ米政府に折衝せしめたのであります。その結果暗中の一燈を見出したのでありますが全面的解決は残され去年の八月から十月迄の現地折衝によって契約方式 地料の算官 五年毎の地料の再評価 損害補償一括払の処理 長期前払法等軍用地問題の殆んどが解決したのであります。これ全く一致団結とその衝に当る代表者の御努力の賜だと感謝申し上げる次第であります。
(二) 講話発効前の損失補償請求事務について
講話発効前の損失補償は昭和二十年八月十六日の終戦の日より昭和二十七年四月二七日(講話発効日)までの損失補償費で土地にあってはその間の賃貸料地上物件については損失賠償費となっています。
今回の調製事務は土地坪当評価が新土地計画の改訂地料を基準にした為前回の坪当評価と違うので全部再調製することになり 尚前回の申告の時は申告洩れも相等あったのでありますが今回は土地の米申告についても申告出来ることになり追加請求し物件については前回の申告だけに止め個人別請求書を作成したのであります。この請求事務はきわめて複雑なもので予想以上の日数と経費を要したのであります。即ち一九五八年十一月二十日より事務を開始して現在まで臨時傭人が延日数八百拾六日間を要して居りますが七月までには完了する予定であります。
今回の補償要求額は次の通りであります。その問題解決のため補償獲得期生会を通じて米国より(ヘメンデンガー氏)弁護士を沖縄側で依頼し現在米国政府に折衝中であります。
今回の補償要求額及件数
土地 三四四、三三五、九八八円也 六、二二八件
物件 九、四四七、四一五円也 二、五一二件
総合計 三五三、七八三、四○三円也 八、七四○件
(三) 解放地の復元補償請求
解放地域 筆数 坪数 請求額($) 申請年月日 備考
古堅(古堅西原) 65 12,509 10,335 58.8.14 講和前収容地なる理由で却下波平 大当原 19 5,417 16,544 58.11.7 3回D.Eより調査
油導 パイプ線 145 7,096 24,051 59.3.23
(四) 軍用地料支払について
去年の地料は三回に亘って次の通り支払っています。
一回目、九月一日より九月八日までボーロ地域
二回目、九月十三日~十九日まで一号線東地域
三回目、十二月一日~六日まで楚辺通信隊地域
支払件数二、九○○名で地料三、四○○万円余となっています。
その後残地料(地料の取り残り)支払いを二回で五日程かかっています。
(五) 住所の変更登記について
今までの土地登記の住所は何区何班となっていたので一九五七年二月十二日附琉法民第一五一号通達により従来の住所区班は字何番地に改めなければならない事になりましたので住所の変更登記申請事務二月十五日より各字一斉に開始しました。
(六) 軍用地料の借賃前払申請事務について
一九五九年五月五日規則第四十八号をもってアメリカ合衆国が賃借する土地の借賃の前払に関する立法施行規則が公布され十年分の借賃前払申請事務が三月三十一日締切りとなっていたので三月二十日に前払申請手続の講習会をやり各字区長さん方にお願いして二四○名の申請手続を行っています。
四 保健衛生について
琉球における結核問題については一九五四年結核予防暫要網が制定され、更に一九五六年に結核予法が立法公布され、以来政府の重要政策の一つとして結核予防対策が充実強化されつつあり、その死亡率順位は十大死因中七位に下っておりますことは、誠に喜ばしいことでございますが反面患者数は一向に減少せず年毎に多くなる傾向にあると言