村議会定例会を召集 一九六三年度予算(案)等提案
本村第二回議会定例会が去る六月十一日から開会されたこの定例会は村長提案の一九六三年度予算案を始めこれに関連する案件を審議するため二十日間の日程を決定、初日は村長の施政方針の発表があり第二日目に提出議案の説明がなされ、六月十三日から村内各部落の状況を視察し十八、十九日の両日に亘って一般質問が行われたその後日程により各委員会で調査研究を行い六月三十日に本会議を開き決議することになっているなお村長から提案された議案は次のとおりになっている
議案第三号
一九六三年度読谷村才入才出予算について
議案第四号
読谷村災害救助基金積立の繰入処分について
議案第五号
車輌売却処分の承認について
議案第六号
読谷村職員定数条例等の一部改正について
一九六三年度施政方針
第二回議会定例会を招集し、一九六三年度予算の審議をお願いするにあたりまして施政方針の大要と新しい年度における重点施策の概要を申しのべることの出来ますことは私の最も光栄と存ずる次第であります。
私は一九六○年四月村長就任にあたり、議会並に村民皆様に行政運営の主要施策として
一、農業基本施設の整備と生産の増強
二、学校社会教育施設の整備
三、飲料水供給施設の整備
四、経済活動の動脈としての部落幹線村道の整備
五、失業対策事業の拡大
六、公民館、村民会館の政治経済文化センターとしての施設運営の強化
七、各種団体の育成助長
八、郵便局の設置と村内通信網の整備
九、漁家生活向上のための漁港整備漁具改善
一○、村民保険福祉の向上
一一、育英事業の推進による人材養成
等の項目をあげて、これが実現に挺身する旨を申しのべたのでありますが、これが実現のためには、経済振興第一次五ヶ年計画の実践に終始一貫した努力を続けて来たのであります。ところがその成果はさきに経済振興第一次五ヶ年計画成果報告書を以て詳細に公表したとおりでありまして、いろいろの経済変動や気象災害や社会諸般の制約もありまして、基地経済からの脱皮という計画の終局目標には前途遠く満足する程に到らぬ間に第一次五ヶ年計画の最終年次をむかえたのであります。
そこで今年は、第一次五ヶ年計画の実績に反省を加え、村民の批判を戴き第一次計画でなし得なかった事項も再検討を加えて新しい時代に即応する、琉球政府の民生五ヶ年計画に呼応するような経済振興第二次五ヶ年計画を樹立して生産業を更に振興し村民生活の向上と安定をはかり将来発展のための経済基盤を強化拡充すべく全村民の総力結集目標を定めていきたいと思います。即ち今年は経済振興第二次五ヶ年計画の樹立を企画しております。
次に新しい年度の重点施策について申し上げます。
一 職員の給与の改善と行政能力の強化
一般社会の諸情勢に即応するよう給与を改善し生活の安定を図り公僕としての勤労意欲を昂揚し民主的にして、合理的な能率的な公務の処理により、尚一層の住民サービス向上を図り、また行政能力の強化のため水道、消防、経済、財政等の職員の増加を考慮しております。
二、産業基本施設の整備と農林業の振興
最近農業近代化のかけ声とともに、栽培技術の向上、品種の更新並びに、普及と云った問題が大きく取りあげられて来たことは御承知のとおりでありまして、特に本土の貿易自由化で沖縄の産業は早急な体質改善がさけばれているのであります。
こう云う国際情勢の動きに対処するためには、生産コストを低減して農業就業所得の増大を図らねばならないと考えるのであります。そこで耕地の生産、労働生産性の向上を図るための山地開発、荒蕪地の解消による経営規模の拡大や輪作間作による利用度の引上げ、或は農業機械の導入、農業の協業化、農業技術の高度化促進等に多様の措置が必要になって来ますが、従来の施策に加えて農業機械促進のためにトラックター、耕耘機等の導入奨励及び甘藷、甘蔗新品種導入を考慮致しました。
産業発展の基盤である道路排水、水道等の基本施策に対しては、新年度においても前年度に引き続き琉球政府、民政府、村、部落の協力によって推進する方針であります。
三、村民保険福祉の向上を図るためには伝染病予防対策として結核の集団検診を従来に引き継いて実施する外、新たに寄生虫予防対策を加え、また母子保健の増進を目的とした乳児妊産婦の検診相談強化を図る所存であります。
四 その他の施策
一、経費の効率的合理的運営
二、職員並びに議員の研修
三、本土就職者の職業補導訓練
四、各種団体の育成
五、地域社会の浄化運動
六、育英事業、移民奨励
等の住民福祉に影響の大きい諸問題については引き続き配慮致すつもりであります。
尚、今回の当初予算には計上してありませんが今年度内において古堅中学校の独立校新設を実現させ本村教育の発展向上のための基本対策を講ずる考えであります。
以上極めて簡単に一九六三年度の施策について概略の説明を申し上げましたが予算総額は一五○、六九○ドルでその規模からみるならば本村における平年予算規模であるといえます
即ち平年の財源は、村税一六、○○○ドル、交付税二六○、○○ドル、財産収入三四、○○○ドル、使用料及手数料三、○○○ドル、政府支出金六、○○○ドル、雑収入五○、○○○ドル、繰越金一六、〇〇〇ドル、合計一五〇、〇〇〇ドルが推計予測出来る野であります。才出においても今年度は多額の経費を臨時に必要とする新規の事業は当初予算には計上してありませんので平年における才出と考えるのであります。
即ち本村における現段階における平年の適正予算額は約一五○、○○○ドルとみて差支えないものと考えているのであります。
この適正予算額規模内における才入才出各款の構成等については予算総括表のとおりであります。
議会の慎重な審議によって一九六三年度新予算が確定され、平和で豊かな文化の香り高き生成発展していく理想郷読谷村の発展のために全面的な御協力をお願い致します。
また村長以下全職員も誠心誠意若い情熱を傾けて村民全体の奉仕者としての態度を堅持して精進することをお誓い申し上げます。
予算各款各項の細部については助役から説明を加えさせますのでよろしく御審議をお願い致します。
一九六二年六月一一日
読谷村長 知花 成昇