読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1963年5月発行 読谷村だより / 4頁

研修報告  本土就職の青少年を激励   夢の東京観光   第一次産業について   天然資源を生かした観光施設 起債して町営企業を推進   研修全般に互る結び

〔82号1~3ページの続き〕

送り出せる訳だがその他の方法で採用された者の中には、やはり就職後の条件が異なり雇用連絡所に泣きついて来るのが度々あり特に注意して欲しいとの事だった。
 労働力過剰の沖縄では政府の雇用対策の一環である本土就職については本村からも安心して可愛い我が子の為にもどしどし送り出すべきだと思う。
 ひる本村出身の昭和食品KK社長安里嗣福氏の歓待を受けた。
※「五 PTA予算」「六 生徒会予算」は表のため、原本参照。
本土就職の青少年を激励
三月二十六日
 本村出身の青少年五名が就職している奥田商会を訪問、会社の事業内容、従業員の寮施設をみせて頂き、同社常務の奥田光治氏と懇談、同社は製紙会社で大阪南区の本店の外に布設と富田林に工場をもち、従業員も全国から集って特に沖縄出身者には関心を寄せ、とんでもない質問を受けて苦笑していとの事、労務管理の面も労働法に基いて実施されて居り、色々な制度の適用も受けている。一少年が足をけがし十日程仕事を休んだら災害補償によって完全着護を受け、当然受けるべき制度を知らない少年はかえって恐縮し断るにも断れず気まづい思いだったと話していた。これらの少年達を激励して午後七時二○分発の急行で横浜に向う。

夢の東京観光
三月二十七日
 今朝未明横浜着、これ迄の日程を記録整理して翌二八日東京都内観光、皇居前、明治神宮、浅草で■車それ以外は車内から■東の巨大な高層ビルを眺め、総べてが我々の目には寄蹟に写り、田舎気性を遺憾なく発揮し、二九日はいよいよ夢の様だった東京観光も終え、日程も大詰に来て午前十一時東京発急行霧島号で一路鹿児島へ、二六時間の汽車の旅その上二等乗客で人混に凝った体はすっかりやつれ当日は思いきり休養。
 船便が四月二日にしかなく三一日は桜島観光、桜島は周囲五二キロ、面積八○平方キロ戸数二、六○○戸人口一万二千を有し、桜島大根を始め、桜島みかん特にビワは多くその他ポンカン、夏かん等の果物を産し桜島大根は三○キロにも及ぶ大きなものである。

四月一日
 これ迄の日程については上記の通りで、今日日程最終日に当り研修課程、視察日程の反省会を開きその感想の概要を次の通りまとめました。

第一次産業について
 農業経営については、内地と沖縄は風土、土質等が異なり内地の農業形態を取り入れて沖縄の農業経営を改善する点は見い出せなかった。ただビニール使用による諸野菜の早期栽培については研究する必要があると思う。農業経営に当っては農協の営農指導や村の経済課等を強化して本村農業の発展を期さなければならないと思う。
 又日本政府に於ても食管法や甘味資源法、農地法その他の法において農民が保護されている。沖縄に於も法により政府や町村に於て農民を保護して農業の合理化を図らねばならないと思う。

天然資源を生かした観光施設
 観光事業は日本内地の観光施設が人力によるものよりも天然自然の利用と数百年以上の建物の施設、そのものが大きな観光資源になっている点から沖縄に於ける観光事業は再検討する必要があると思う。又特に読谷、嘉手納における観光施設等は充分に研究し、又検討してやらねばならないと感じた。

起債して町営企業を推進

 財政運営の状況について各町村共各々財政規模も異なるし、又その運営も違った点もありますが一般的にいえることは起債をして町営事業を行っている所が多い様であった。
 又何処の町村においても自主財源が少く財政的には貧困である。其の反面公債費の累増人件費の自然増による消費的経費は毎年増加する現状にあった。従って投資的経費を維持し行政水準を確保するには、行政事務の能率化を図り消費的経費の縮減に一段の努力がなされている現況であった。

 研修全般に互る結び
 議会運営全般について結論を申し上げますと各町村共本会議における一般質問は、通告制によって、本会議に於て町長は易に答弁している、又各委員会は委員会記録をはっきり残している等大変参考になり、又学ぶ点が多かったと思っている。尚行政運営全般に亘って申し上げますと地方行政の近代化、あるいは自治運営の能率化ということが盛んにいわれている今は確に諸制度の改正が行われ、地方自治の自主性及び自律化の目的が達成されている様な感がした。又実質的地方自治の確立を期するため、地方行政においては其の内容が充分検討され、住民の暮しが少しでも向上する様に与えられた諸制度を能率的に運営し、生産性を高め地方自治本来の使命が達成されている。
 住民日常生活に直結した町村においては近代福祉国家の要請に応え、その組織運営は実に合理化されている。いわゆる最少の経費で最大のサービスを発揮され、各行政部門に亘り高度に近代化された運営がなされている又外に対しては行政の内容を近代化し、これによって住民にたいする福祉増進に寄与されている。
一方内においてはその行政のやり方も近代化され、特に財政的に貧困である地方町村においては、自主財源の増加はない様であったが其の反面公債費、人件費の自然増によって消費的経費は増加している現況であった此の様なことから投資的経費を維持し行政水準を確保する為、事務の能率化が改善されて消費的経費の縮減に努力されていた。
尚役所事務の功劣がひいては住民の日常生活にも大きく影響すると言う考え方から、行政事務処理体制の改善がなされ住民へのサービスをより徹底させ、合理的な行政運営がなされていることは私達の研修の目的からして大変参考になった。
 以上の様に会議運営、行政運営について申し上げましたが私達一行がこうして二五日間に亘り、各自が最大な能力の発揮して研修を終ることが出来ましたのも、各県の議長会事務局の方、或いは各町村の議会、町御当局の暖い御配慮によって日程通りの研修が出来た事を心から感謝致す次第であります。私達一行の研修によって議会活動を通して有型無型にして住民福祉に寄与することが出来得れば幸いと存じます。私達一行が無事に目的の研修を終えて帰ることが出来ましたことは、村民は勿論先輩各位の御指導と御協力によるものであると厚く御礼申し上げまして日本々土の研修の経過報告と致します。

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