〔92号1ページの続き〕
である。
従って、市町村の財政構造を論ずるには、一つにはその市町村の財政規模に対する一般財源の相対的大きさと、二つには、一般財源が義務的経費(人件費、公債費等)経常的経費(維持補修費、消耗品費、通信運搬費、旅費等の物件費)のような非弾力的経費にどのような比率で充当されているか。そして、この非弾力的経費に充当した剰余の一般財源額が義務的又は経常的経費外の事業(建設、復興、福祉向上の事業等)に充当されることになるが、はたして、その充当比率がどのようになっているかを分析して、市町村財政の「弾力性」を見るのが重要な手がかりとなります。
経費のうち、義務的性格の最も強いものは、人件費公債費(村には、現在のところはない。)次に政府補助を受け、その一定割を負担することを義務づけられ■補助事業費(ただし、この場合市町村が事業を行なうか行わないかは選択の余地が残されておる点は、前の人件費等とは性格を異にする。)他方前の義務的色彩の濃淡とは別にどこの市町村でも経常的に必要な経費がある。例えば、施設の維持補修費、旅費、消耗品費、通信運搬費等の物件費がそれで、これらの経費は、市町村の行政遂行上必要欠くべからざる経費である。
従って、人件費等のように義務的性格の強いものと物件費等の経常的な経費に充てられる一般財源の充当比率が財政の弾力性を示す指数ということになります。即ち、一般財源の義務的経費に充当される比率が低い程、その市町村の財政は弾力性に富んでいるといえます。
しかし、上途の経費のうちにも経常的でないもの(例えば、退職金、祝賀式典に要した物件費)もありまた収入にあっても、臨時的収入のうちにも一般財源たり得る性質(例えば繰越金本村の場合講和前見舞金等)のものもある。
それで、通常の場合の財政状態で、その財政構造を検討するためには、一応臨時的の収入支出の要素を除いて、経常的収入の一般財源と、経常的な経費との関係をみればよいわけである。
以上要約すると、毎年毎年経常的に収入される財源(経常一般財源)で毎年毎年経常的に支出される。義務的、経常的な経費(経常的経費)を賄って、残り剰余の財源がなお大きく残りこれが行政水準向上に充てられるのであるが、その充当比率が高ければ高い程、財政構造は弾力性(ゆとり)があるということになります。この検討を容易にするために、一九六三年度決算を資料にして、財政構造状況表を試みたが、以下分析に当っての、区分の仕方とその実際区分の要領を概略説明します。
なお、分析についての区分の仕方は、地方財政運営の手引(自治有財政局発行)によるものである。つづく
※表「第二表財政の推移」は原本参照