第8回財政公表(2)
(2)経常、臨時の区分の仕方
一般的観念としては、毎年度定期的に支出され、収入されることが予想される恒常的な経費及び収入を経常とし、それ以外のものを臨時とする。この資料においては、次に掲げるものを臨時とし、先ず臨時の範囲を限定して、その他を経常とする。
A 収入のうち臨時に区分するもの
財産収入中賃貸借契約締結による、年間地所賃貸料を除いて収入=政府支出金中臨時的経費に充当するために収入したもの
寄附金全部=繰入金全部=繰越金全部=
雑収入中軍用土地賃貸借契約締結により収入される年間非細分地料を除いた収入
註 一般的観念として、財産収入は全額臨時収入とされる。なお、雑収入のうち、本村の非細分地料のように、毎年定期的に収入される性質のものを、他の市町村において多く見出すことはできない。しかし、この収入が稍々恒常的であるので飽くまでも特殊事情であるけれども、矢張りそれを実情として軍用地料及び非細分地料の年間地料を臨時的収入から除いた。従って、一般的には、経常収入のうちにはかかる性質の収入は入らないということ、他の市町村を比較検討するときは、その事情を考慮しなければならない。
B 経費のうち、臨時に区分するもの
イ 経費の費目により区分するもの
人件費中、災害補償費=欠損補填金中、立替金、繰替金、返還金、払戻金、賠償金、過年度支出金=投資及出資金=積立金=繰出金=前年繰上充用金=普通建設事業費、災害復旧事業費失業対策事業費及び事業のための調査費、計画費
ロ 経費の性質により区分するもの
退職勧告を行い、整理退職を実施したときの退職手当並びに、普通退職者の割増退職手当=選挙関係で、その年度及びその他の年度に、選挙を実施したことによる事務費=国勢調査、農業センサス、市町村建設のための調査等特別の大規模な統計調査関係費=伝染病発生に伴う経費=災害関係経費のうち、災害救助法発動された災害に係る経費=工場誘致条例を適用し、適用する予定のもとに誘致した工場及び誘致する予定のための誘致関係費=大規模な記念祝賀行事実施関係経費=市町村合併が行なわれ行う予定の準備にかかる関係費、施設の新設及び増築拡張に伴う備品購入費
(3)一般財源と特定財源の区分の仕方
才入のうち、その使途が特に定められているものを「特定財源」。特に定められていないものを「一般財源」と大別する。一般財源は自主的な判断によって、使途を決定できることから「自主財源」ともいわれる。その区分は概ね次により区分する。
A一般財源に区分するもの
市町村税のうち、普通税市町村交付税のうち、普通交付税=手数料=預金利子収入、又は財産収入中特定の費途のないもの=純繰越金雑収入中特定の費途のないもの
B 特定財源
才入のうち、その使途の特定されているもので、いわゆるひもつき財源であり概ね、政府支出金分担金負担金、使用料、寄附金、財産収入、雑収入及び公債等。(弁務官資金)
(4)実際の区分
A 才入(財源区分)
村税、経常一般財源、市町村交付税(普通交付税)経常一般財源、財産収入、賃貸借契約締結による村有地料の年間地料経常一般財源。同地料の過年度分、増額分、講話前損失補償金、預金利子、株式配当金、財産売却代は、臨時一般財源、
使用料及手数料
火葬場使用料は、経常特定財源、その他は、経常一般財源
政府支出金
経常的経費の援ゴ、統計引揚等事務補助金は、経常特定財源。畜犬登録手数料軍用地料関係支払業務手数料、立法院選挙事務委託金は、臨時特定財源、その他は、臨時事業費充当の財源
寄附金 臨時事業費充当
繰入金 〃 〃
繰越金 臨時一般財源
雑収入=賃貸借契約締結による非細分年間地料は経常一般財源。同地料の増額分、同損失補償金、預金利子、物品売却代は、臨時一般財源その他は臨時特定財源。
B 才出(経費)区分
人件費
事業支弁に係るものを除く、議員、委員報酬、特別職給、職員給、議会書記給消防職員給、臨時用人賃金並びにこれに支払われた一切の手当と。施設の維持管理に要する経費のうち、臨時用人に準ずる賃金
維持補修費
施設の効用を維持するに要する経費(これに含まれる臨時用人に準ずる賃金は人件費に)
事業費
普通建設事業費、災害対策費、失業対策事業は目を一括して。振興、助成、奨励、予防、普及事業等(目又は目の一部)は節の二四、二六、三二を計上
補助交付金
法令に基くもの、事業費に計上されるもの、市町村会、議会議長及びこれに準ずる市町村職員団体の負担金を除く、補助金、負担金及び交付金。
物件費
事業費、維持補修費に計上される経費以外の事業にかかる物件費。
(5)財政構造表の見方(別表)
前項までの財政健全化の要素を考慮しつつ、いまの分析区分による、分析結果の見方について、そのあらましを以下述べることにする。
村税について
計上一般財源総額(Gの(イ))に対する、村税の占める比率(H)がどの程度であるか。この比率の高さが財政力の強さを示す指数である。市町村税の増減は、市町村交付税により調整されるものであるが、村税の占めるその率が高ければ比較的弾力性に富んだ財政構造ということができる。ところで、一般財政の大宗である村税が付税の二八、一三パーセント、財産収入の一九、九六パーセント雑収入の三七、○八パーセントに比し、僅か一二、七六パーセントではなはだ低い。
才入合計額(Aの(イ))と計上一般財源(Gの(イ))について
才入決算額(Aの(イ))$二二三、六○一、四○のうち、経常一般財源総額(Gの(イ))は$一三四、八四九、三九で、才入決算総額の六○、三パーセントしかない。これをもう少しわかり易く言うと、才入総額$二二三、六○一、四○は、かなり大きい額であるがその中味は表でみるように、臨時的収入の約八七、○○○が含まれており、経常的収入の一般財源は$一三四、八四九、三九しかない。
市町村財政構造の論議には、一つにその市町村の財政規模に対する一般財源の相対的大きさによることは前に述べたが、その比率六○、三パーセントは、この要素から検討すると健全とは言い難い。
経常一般財源(Gの(イ))の経常的経費充当
(Gの(ロ))比率(Hの(ロ))
財政構造の弾力性を最も端的に示す指数である。これは上記説明の経常一般財源額(毎年毎年定期的に収入し、かつ時に使途の定めのない自由に使える財源)$一三四、八四九、三九と経常的経費(毎年毎年当然必要とする経費)$一三三、九九四、六七との関係を示す率である。
本村の場合、経常一般財源$一三四、八四九、三九殆んど全額の九九、三六パーセント(Hの(ロ))相当額$一三三、九九四、六七(Gの(ロ))が経常的経費に充てられておる。残り一般財源は僅か$八五四、七二(Gの(ハ))にして、その率○、六四パーセントの僅少である。
事業費について
経常一般財源で経常的経費を賄ってなお剰余の財源を有し、その財源を事業に充て、その比率が高ければ弾力性(ゆとり)に富んでいるということは前に述べ前項でその比率が○、六四パーセント、額にして僅か$八五四、七二であることも表の示すとおりである。
それでは、本村の場合事業の財源は何か。それは、事業費((二))は臨時的収入の一般財源Dの(二)で賄われる。即ち、補助事業費の$四、七八七、八九単独事業費の$四一、四九○、六五は臨時的収入(村有地の損失補償金、繰越金、非細分の損失補償金)によって、賄われている。この財源は、あくまでも臨時的収入にして、今度に限ってこの種、収入が入ったが、この収入があったればこそ、補助、単独の事業費$四六、七八五、五四の事業を容易に実施し、一方前年度までの剰余金の食いつぶしを抑えることができ得たことを意味する。