読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1964年7月発行 読谷村だより / 2頁

施政方針 

〔95号1ページの続き〕

であるという考え方に立って、私は今回「農業振興計画」を樹立して、村民生活の安定向上を図りたいと思います。
 今回立案した、農業振興計画の概要については
(一) 生産計画
(二) 生産基盤整備計画
(三) 農業合理化計画
(四) 流通計画、の四章からなっておりますが、本計画を推進するために、農業委員会を設置したいと考えております、
 まず、主要作物を「甘蔗」と「甘藷」におき、換金度の高い馬鈴薯、茶、果物、マシュルームを奨励作物に指定してあります
 また甘蔗の作付面積を現在の四二○○○Aにとどめ、単位収量の引上に重点をおき、甘藷作を現在の三○○○○Aから六○○○○Aに増大して家畜飼料に利用率を引上げてあり、特に本村を豚の主産地にするため優良種母豚の委託貸付制度を設け、優良品種を増産し、多頭飼育をすすめて、現在の五三○○頭から一五○○○頭に目標を定めてあり、その飼料対策として、甘藷の多量生産と、牧草栽培を強力に進めて、自給飼料七○%生産を期して、本計画を達成したい。また販路対策として畜産出荷場を設置し、農業関係団体の共販体制を確立して、流通の円滑化を図る考えであります。

二、果樹園事業の推進について
 住民所得の向上に伴い、食生活のあり方も変りつつあって、果物の需要が大きく伸びました。従って琉球政府においても農業構造改善事業の一環として、果樹を奨励作目に指定した有望な作物であります。
 幸にして、本村は昨年九月から、村有地の村直営の果樹園を造成し、第一年次は雑木の伐採、柑橘類の植栽と苗圃の確保等を重点的に推進して来ましたが、本事業は長期的な事業でありますので、年次計画により、本年度も資本と技術を最大限に投入してモデル果樹園をつくりたいと思います。

三、民芸の再興について
 本村は、琉球の古文化財で有名な読谷山花織の産地であります。それは、われわれの祖先が百年前の昔につくり出した貴重な芸術品でありますのに、受継ぐ人もないままに、時代は流れて七○年経ちましたが、只今私はその再興を計りたいと考えております。
 その理由を申し上げますと祖先の偉業を讃え、これを保存し承継することと、本村の特産品をつくり出す上に、読谷山花織が最も有望だと思うからであります。
尚、婦人には、農業は過労であるし、適職の織物業をすすめれば、零細農は減少し産業構造や労働人口の調節の面から重要なことだと思います。
 幸にして、読谷山花織をつくり得る古老のお方々が数名おられますので、この際若い者にその技術を承継させ、花織の再興を計り、これを機会に、家内工業を盛んにしたいと考えております。

四、水道事業の推進について
 本村の水道施設は上水道簡易水道を含めて、全人口の約四○%完成いたしました。一九六四会計年度において、喜名、親志、座喜味、上地、波平の五ヶ字の水道を計画し、只今送水本管施設の施行中でありますが、引続き本年度は、この地域の全面施設を施工し、更に全村水道計画に基いて、南部と北部の水道を年次的に施行いたします。
 従って水道事業を着実に施行し、円滑に運営するために、本年度より特別会計を設け水道条例を制定し、機構を整備いたしまして、全村水道の早期実現を期したいと思います。

五、行政事務の向上について
 村の行政事務は一定の形式により、行われておりますが、社会の経済文化の発展に伴い、その事務量は著しく増加しております。それは、市町村自治法を取上げるまでもなく、われわれの村は、われわれの手によって治めるからであり、その目標も大多数の意志によって、より多くの事業をつくり出すと共に、その事務処理に当っては、法令、規程を尊重し、民主的に、より能率的にガラス張りのサービス行政をモットーにしなければなりません。その運営は執行機関と議決機関により、組織されておりますが、とりわけ、執行機関の責任は重大でありますので、時代に即応する、機構を整備強化すると共に職員の奉仕者意識を高めて行政事務の向上を図りたいと思います。

六、財政運普について
 数年来本村の安定財源は一五○、○○○ドルと推定し年度当初は、この規模により、予算を編成して来ましたが、本年度は、これを大巾に増額して予算総額は、二一三、○○○ドルを計上いたしました。
 その内容については前年度と比較して、市町村交付税に二一○○○ドル財産収入一五○○ドル、雑収入七○○○ドル、計二九、五○○ドルが主なる財源の伸びであり、経費面においては、行政費、農業振興費、水道事業費等の財政需要は極めて多く、これ等の重要事業を完遂するために、基本財産造成基金積立金より、一二○○○ドルの繰入をもって予算調達を行ってあります。尚水道事業予算については本年度予算総額六一、四八五ドルを計上し、財源には起債額三五○○○ドル一般会計より一五○○○ドルの繰入をもって予算を編成してありますが、予算執行にあたっては、最少の経費で最大の効果を挙げ得るように努力する積もりであります。以上は新しい年度における重要施策でありますが、更に教育文化の振興、民生の安定向上、消防と治安の確立、民主団体の育成強化等前年にもまして、着実な成果を挙げるよう、最善の努力を傾倒する覚悟であります。最後に豊かな村、明るい村、平和な村を建設するために、議会及び村民各位の建設的な御批判と積極的な御協力を御願いいたしまして、施政方針を終わります。

一九六四年六月十一日
読谷村長 池原昌徳

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