謹賀新年 1968年 年頭の挨拶
議会議長 知花 平良
光陰矢の如しと多端な一九六七年も夢の間に過ぎ去り、ここに希望に輝く新春を迎えるにあたり、本村議会を代表して本紙を通じて村民各位に謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
村民の皆様明けましておめでとうございます。顧みまするに去る年は対外的問題としては、佐藤、ジョンソン会談、二・二四事件と云われた教公二法問題、それに対しての立法院の九十七日間の空転議会、暴力団抗争の殺傷事件、特に沖繩全県民の悲願であり、又大きく期待していた佐藤ジョンソン会談の結果が復帰のメドさえ明確にできなかったこと等必ずしも希望に満ちためでたい年だったとは言えない。しかし村内においては一九五五年から要請し続けてきた講和前補償が一二〇万ドル余りも本村に支払われ、また読谷飛行場間の黙認耕地の農作物の撤去命令が撤回されたこと等を考えた場合村民は経済的に恵まれた年であったと思います。
さて新年を迎えるにあたり今年こそはわれわれに幸あれと願うことは人間の本能であり、また当然の願いであると思いますが、今年もすでにわれわれの目前に種々の難問題が山積しております。古堅、渡具知の黙認耕作地十万坪が米軍工事のために地均されるようになり、その工事期間六ヶ月間は三十万坪の黙認耕作地が農耕禁止されるとの通達がなされ、その地域住民に大きな不安を与えております。勿論黙認耕作地は布令第二十号賃貸権の取得によって、米軍が必要とする時は無条件に撤去されるように規定されておりますが本村内の軍用地の約六〇パーセントが黙認耕作地であり戦後二十二年間村民の大半がその土地で生計を立てておる現状であり黙認耕作地の取り上げは本村民にとっては新規土地接収に等しいことであると議会においてもこれを重視して臨時議会を開きこの命令を撤回するよう決議し関係部門に強く要請してあります。なお今後も単に強く要請してその地域住民の被害を最小限度にくいとめるよう最善の努力をする所在であります。
また今年は五ヶ年毎に更新される軍用地賃貸料の改定期でありますが、読谷村の軍用地貸料は全琉の一割以上を占めておりますので本村としては軍用地料の引き上げは重要問題であると考えております。幸いにして私は借賃安定法による全琉の土地評価委員になっておりますので今期の軍賃貸料引き上げに全力をつくす考えであります。
本村議会においては年間数回にわたり議会会報を発刊し各団体長や公民館長宛に送付してありますので村民の皆様が議会会報を詳しく読んで戴き本会に対して正しい御批判と建設的御意見を寄せて戴きますことによって、議会は住民代表機関としての責務を果すことができると思います。何卒村民各位の倍旧の御指導と御協力をお願い申し上げ、ここに希望の新春を迎えるに当り村民各位の御清福と御繁栄を心から祈念致しまして年頭に当りいささか所感を申し述べ御挨拶と致します。