読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1967年6月発行 読谷村だより / 2頁

1968年度施政方針

〔118号1ページの続き〕

的な実施方策を立てしまて農家を指導督励し、助成金制度をつくるなど、積極的に推進してきたが、その結果は、畜産部門だけの成長にとどまり、その他は殆んど減退の傾向にありますが本村には、甘蔗、甘藷、馬鈴薯に代る主要作物はなく唯一の換金作物でありますから、この作物の振興は是非とも図らなければなりません。
 従って本年度は、主要作物の品種更新、病害虫防除の強化により、単位収量の引上げを図りながら、新しくそ菜園芸をすすめます。また家畜用の飼料作物を普及して大家畜の増殖を図るつもりであります。
 その他指導業務を強化して、生産体制を確立すべく組合活動の育成を図り、農家の生産意欲を高めるために、農産品展示会を開催し、部落共進会をもり上げて農家生活の安定を図るつもりであります。
◎建設事業の促進について
 政府道路の整備促進については、一昨年以来十二号線の巾員拡張と舗装、六号線の側溝工事の執行について、たびたび要請してきましたが、いまなお未解決につき、本年度は、是非とも巾員拡張と舗装工事が完成するようにします。また政府補助によって軍用地内にも農道工事ができるよう努力していきたい。
 本年度の村営工事については、村道、高志保地内と大湾~比謝線の簡易舗装工事を行い、併せて大木~古堅線の側溝工事を計画しており、また全村道の測量を実施し、再検討を加えて、遠からず村道の買上げを行いたいと考えています。
 それから波平と長浜の失対事業工事、座喜味、高志保の字内道路、波平、儀間の排水施設、瀬名波の農道工事を計画しています。
 水道事業については、過去三ヶ年にわたって基本施設を建設してきましたが、一様本年度をもって、全村にわたる基本施設を完成いたす計画であります。その次は、現在部落管理にある施設を買上げて、全面的に村営に移管して、円滑な運営を図りたいと考えております。
◎村財政の強化について
 読谷村の財政需要は近年著しく増大しつつありますその原因は給与水準の引上げもありますが、水道、村道、学校施設など市町村の行うべき事業が急激に増えたためだと思います。これからも、いまだに未解決である村道買上げには莫大な資金を要します。また村道舗装、役所庁舎の増設、学校施設、体育施設、社会開発事業などの懸案事項は山ほどあって、現在の村財政では、幾年かかるか見当もつきません。
 財源の確保について、村でできるものは、村税の引上と公用に利用する見込みのない村有財産を処分するという二つの方法しかありません。従って新年度は村税の強化を図るために、新基準にもとずいて土地、家屋、償却資産の調査を完了し、法人及び個人所得を適格にとらえ、均衡のとれた税制を確立し、優秀な納税成績をあげたいと思います。
 尚、沖繩の全市町村も同じように財政貧困であり、莫大な財政需要をかかえておりまして、市町村の財政強化策は、日政援助により本土同等にまで、市町村交付税を引上げることと、その他市町村に対する融資対象の枠を広げなければ起債の制限を受けますので、こういった問題点の解決を計って、村財政を強化したいと思います。
◎教育の振興について
 学問をすすめるには、まず先生が教えやすいように児童生徒が勉強しやすいように、学校施設を立派に整備すべきであり、あわせて、社会も家庭も関心を高めなければ教育効果は上がらないと思います。
 沖繩の教育施設は逐年著しく伸展したとはいうもののまだまだ不充分であり、本土の学校とは、かなりの格差がありまして、この格差正と教育振興のためにわれわれは、丹ゆる努力を払っておりますが、財政貧困の現時点では、なかなか達成されそうもありません。昨年改正された制度によって、財政規模は増え、学校施設も増設はされましたが、それでもなお教材備品も貧弱であり、計画中の給食施設や、いろいろの設備資金は莫大な財源が必要であります。
 今回読谷区教育委員会の提出した予算見積額のうち村財政に充てられた教育費負担金は一二一、七三五ドルにして、村の財政計画とは、大きなひらきがあって予算調整にあたっては、かなり難航いたしましたが、村財政も限られており、しかも行政、産業、建設、保健福祉に要する財政需要はすこぶる旺盛にして、結局水泳プールの運営費を含めて九六、七五〇ドル設定したのであります。
 こういう事情につき、村の負担金増額は無理でありますから、この際教育委員会は起債の方策を立てられて、各学校の給食施設を早急に設備したほうが望ましいと思うのであります。
◎内部体制の強化について
 執行機関にとって、最も大切なことは、充実した機構を整えることであり、適材適所の人事、事務の合理化、職員の待遇改善、すぐれたビジネスマンの採用だと思います。
 現代社会は急速なテンポで進展しつつありますが、これにかんがみ、市町村の行政水準も上昇し、村行政の仕事は著しく増加の傾向にあって、今や職員の大巾増員が必要であります。
 尚、村民えのサービス面事務の適生管理、能率の向上を図るためには、是非とも機構改革が必要につき、現在の総務課から、戸籍、住民、厚生、民生事務を分けて、今回「住民課」を新設し、内部体制を強化して真の行政効果をあげたいと考えております。
◎行政区の改革について
 行政区改革の進め方について、私はまず、数字の上で、地積別、行政区別の実態と、図面上から見た現状分析表を作成し、これによって利点欠点を検討し、その次に実施計画を立てて、本格的に推進するつもりでありますが、その資料作成事務が遅れたことは誠に申訳ありません。
 それで新年度は、実施計画書を作成し、行政区問題専門委員会を設置して、慎重に検討を加え、理想的な行政区をつくりたい。
 以上新しい年度における重要施策について述べましたが、そのほかコーリー業者によって被害を受けている村道及び農道の復元及び補償、これからの維持管理について万全に期すと共に青少年の健全育成、事故及犯罪予防対策、老人福祉、各種団体の育成強化、社会事業、保健 衛生の向上など、村行政の機能を充分発揮いたしまして、豊かで、明るい、住みよい村づくりのために、精一ぱい働く覚悟であります。
 最後に今回提出いたしましたもりたくさんの議案について、とくと御審議の上また村政全般についても、建設的な御批判と御協力を要請し、我が読谷村の飛躍的発展を祈念して施政方針を終ります。
一九六七年六月十一日
読谷村長 池原昌徳 

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。