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1967年8月発行 読谷村だより / 4頁

戸籍が作りかえられます 夫婦と子供を単位に編成 七月一日から全琉一斉に

戸籍が作りかえられます 夫婦と子供を単位に編成 七月一日から全琉一斉に
 この度、皆さんの戸籍は新しい戸籍法の定めにより、本年七月一日から向う三ヵ年以内に次のような理由によって新しく作りかえることになります。
 すでに皆さまも御承知のように、昭和三十二年(一九五七年)一月一日から新民法とともに新戸籍法が実施されて、これまでの戸籍はいわゆる封建的な家族制度、すなわち戸主の下にその家族全員が一つの戸籍におさめられておりましたが、新民法により家の制度が廃止され、従って戸主もなくなり、戸籍は夫婦とその子を単位として作ることに改められました。
 したがってこれまでの家を単位として作られていた古い戸籍は昭和三十二年に新しく作りかえなければならないはずでありました。しかし非常にたくさんの戸籍を一時に作りかえるということは、当時のいろいろな事情から到底不可能なことでありました。
 『古い戸籍も新法戸籍とみなす扱い』
 しかし、親子とか夫婦のような、いわゆる人の身分関係を登録しこれを証明する重要なしかも唯一の資料である戸籍は、一日といえどもその事務を停滞させることはできないので、これまでの古い戸籍は一応これを新しい戸籍法によって作られた戸籍として取扱うことにしておいて、新しく婚姻したり或は子供が生まれたり又は養子縁組等をした場合にその関係の者だけについて市町村役所で職権で自動的に新しい制度による戸籍を作ることにして、古い戸籍を徐々に新しい戸籍に作りかえて来たのですが、まだ全体の戸籍の六六パーセント(全琉六一パーセント)は古い戸籍のままになっております。これ等の古い戸籍は新しい戸籍法の定めによって新戸籍法執行後十年経ったときには全部作りかえなければならないことに規定されておりましたところ、この十年という期間は昨年で終りましたので、いよいよ本年七月一日から古い戸籍を新しい制度による戸籍に作りかえることによりました。
 「戸籍の改製とはどういうことか」
 それでは、改製とは具体的にどう云うことかをわかりやすい三つの例をあげて説明したいと思います。
 さきに申し上げましたように、新戸籍法の戸籍編製単位は、夫婦とその子を一つの戸籍に載せる訳で、古い戸籍のように、祖父母父母、兄弟姉妹、叔父母、甥姪等が入っている戸籍は今度の改製によって全部作り替えられるようになります。
※例一
筆頭者  そのまま残る
妻     そのまま残る
×長男        新戸籍
×婦          新戸籍
×孫(長男の子)   新戸籍
 右五人の在籍する戸籍があるとして今度の改製により、長男、婦、孫の三人は夫婦とその子に当るので右の戸籍から出て新しい戸籍を作ります。
※例二
筆頭者、妻、長男三人はそのまま残る。
×母   新戸籍
×弟   新戸籍

長男
 右五人の在籍する戸籍があるとして今度の改製により、筆頭者、妻、長男の三人は、夫婦とその子に当りますので、それ以外の者である母と弟は、右の戸籍から出て新しい戸籍を作ることになります。
※例三
筆頭者  そのまま残る
妻     そのまま残る
×叔父     新戸籍
×叔父の妻  新戸籍
×弟       新戸籍
×弟の妻    新戸籍
×甥(弟の子) 新戸籍
 右の七名の在籍する戸籍があるとして今度の改製により、叔父と叔父の妻は、夫婦で新戸籍を作り、弟と弟の妻、甥の三人は、夫婦とその子に当るので右戸籍から出て、それぞれ新しい戸籍を作ることになります。
 以上三つの例を申し上げましたが、右の他に何十種類のケースがありますが、要するに十何人かも一つの戸籍に載っているのを、夫婦とその子を単位に、あるいは夫婦、親子とそれぞれ作りかえていくことで本村では七月一日から三ヵ年計画で完了する予定であります。
 なお戸籍に関することは、殆ど届出制ですが、この改製事業は皆さんの届出によるものではなく、役所が職権で行うものです。従って先に御説明申し上げましたように、自分の戸籍がいつの間にか親兄弟から離れて別個に作られていてびっくりなさるということも考えられますが、右の取扱いによるものですから御了解下さい。特におとしよりの方が、今迄子供や孫達と一つの戸籍に載っていたのがこの改製で老人夫婦だけ、又は唯一一人だけ残されたり、又は作られたりすることも充分考えられ、感情からしてしのびない点もありますが、その点も御了承下さるようお願いします。
 このように沖繩の戸籍は去る戦争で焼き尽くされ、それが整理されて一息つく間もなく又このような改製という大きな事業を行うのは仲々大変で、係も忙しく、皆さんにも或いは不便不自由をおかけすることもあるかと思いますが、努めて御迷惑をおかけしないよう、充分心掛けたいと思いますので、以上の事情を御理解下さいまして御協力下さるようお願いいたします。
 参考までに本村の戸籍総数と、新法戸籍数、旧法戸籍数をお知らせします。
一、戸籍総数
        六、二三〇件
二、新法戸籍数
        二、二二四件
三、旧法戸籍数
        四、〇〇六件
四、(三)の内全部作りかえをする件数
        一、七一九件

※ 例一~例三は原本参照。

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