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1968年5月発行 読谷村だより / 2頁

台湾の石油精製工場と産業を視察して 

台湾の石油精製工場と産業を視察して 
議員 知花 平良
 一月二十四日午前八時三〇分から十二時まで、台湾高雄市にある中国石油株式会社、高雄精油工場を参観した。
(1)中国石油株式会社の設立と施設の概要について、
 中国石油株式会社の設立は、一九五〇年頃で、日産四七、〇〇〇パーレル(一パーレル五〇ガロン)で資本の比率は外資七〇、地元資本三〇の割合により、事業が行なわれている。総資本額は台湾の軍事関係やその他の理由)で明確にされていない。会社の就労人員は附帯事業を含めて四、〇〇〇人で、労務者技術者も台湾人である。技術取得も泰国、韓国等に派遣して研修させている。
 会社の面積は、一一七三、六〇〇坪で、工場の位置は高雄港から十四キロ離れた高雄市内にある。外国から運ばれてきた原油は、高雄港から送油管施設によって原油貯蔵所に貯蔵されている。
(2)工場の主なる施設について
 原油貯蔵施設、配合工場水圧施設、製罐工場、アスファルト工場、ボイラー工場、蒸留設備、プロパン処理施設、硫黄工場、石油化学主要原料工場、品質管理センター、設計室、機械室容器製造工場、排水処理等であるが、これは皆コントロールセンター(電子計算機)計器に表示されて運営されている。
※蒸留施設(工場)
蒸留施設は、国際規格に準ずる施設で雑物を除いた重油を加熱し、アスファルトガソリン原料に分観している。
※硫化水素施設
硫化水素施設は、液化ガス航空用ガソリンを精製し、硫黄工場へ送る前の原料の中から不純物を焼却している。
※硫黄工場及びその他の施設
硫黄工場はアンモニア原料に精製し、一日生産八トン精製の過程において、硫酸一日一五トン、アスファルト年産一〇万トンの生産をしている。なお軽油精製の過程においてジエット機用燃料を精製し、このように各種燃料の精製過程は多種多様で複雑をきわめ、外見はパイプをもってすべての施設と連結され、目でみても精製状況はわからず、コントロールセンターの計器に表示され、その技術的操作もすべて台湾人によってなされている。
※石油精製工場誘致と経済寄与について
台湾中国石油株式会社、石油精製工場を見聞して、石油精製工場並びにその附帯工場の設置によって、その地域住民や琉球経済に対しては、大きく寄与されることと思う。よって石油工場誘致に反対する必要はないと思うが、四会社に対して一度に外資許可されたことに対しては疑問に思う。
その理由は中国石油会社は日産四七、〇〇〇パーレルであり、沖繩に設立される四社の日産精製量は二五万五千パーレルとのことであり、中国石油と比較対照した場合あまりにもその規模が大きいからである。
※公害について
石油精製工場による公害については、中国石油精製工場主任工程師蔡思斉氏の公害についての説明や工場の近代的設備を見聞して、充分な施設を施せば、公害は防止出来ると思うが、先に述べたように、中国石油社と今回沖繩に設置される四会社はその規模において比較にならないものである。よって公害については、工場設置以前に万全の対策をとって、公害防止のために特別の設備を完備するよう会社側と琉球政府に対して強く要請しなければならないと思う。
 以上台湾視察について、概要と所感を申し述べ、御報告と致します。

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