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1969年9月発行 読谷村だより / 1頁

老人福祉週間によせて

老人福祉週間によせて 
読谷村長 池原昌徳

 老後のしあわせを!!お年寄りを大切にしましよう!!という趣旨で、九月十五日は、としよりの日、として老人福祉週間が設定されています。
 今やこの行事は私たちの生活に習慣化され、各家庭でもとしよりの日を心から祝っており、各部落では、いろいろの催しものがあって、老人を敬い、大切にする潮風が高まっていることは、実によろこばしいことであります。
 また本村の理容師組合では六ヶ年前からおじいさん方に対し、散髪の無料奉仕を行ない、敬老の範を示していただいたことに対し、敬意を表さずにはいられません。
 さて、今日の社会は、医学の進歩、保健衛生の向上、衣食住の改善により、人間の平均寿命は著しく伸びまして、総人口に占める老人の割合は遂年増加の一途をたどっています。
 ところが、急激に進歩する社会環境、生活様式の変化により、いよいよ老人は取残されつつあるように感じます。
 多年にわたって社会の進歩に寄与し、とくに戦後の焼土と化した郷土建設につくしてこられたお年寄りに対し、私たちは、みんなの責任で老人福祉について考え実践していきたいと思うのであります。
 本村においては、一九六一年から八〇才以上の方々に、僅かではありますが、老人に対する感謝のしるしとして、敬老交付金を差上げてきましたが、本年度は従来より二ドル引上げて、五ドル差上げることにしています。
 読谷村で老令福祉年金を受ける資格者(七〇才以上の方々)は総数で一、一四七名でありますが、残念ながら、そのうち一四二名が所得制限のために支給停止になっています。 しかし支給額については、昨年の法律改正により、五七ドルに増額され、夫婦制限が廃止されましたので恩典はかなりよくなりました
 また本年度から新しく老人家庭奉仕員を設置して、身体が不自由で日常生活に困っておられる老人家庭に対し、お掃除や洗たくなどの面倒を見て上げることになりました。
 人間は生まれてから死ぬまでに必ずや一度、老年期をむかえねばなりません。老年期を通過せず中途でたおれる人は、人生の落伍者であります。
さればこそ、若い人々も、将来必ずや自分にも老年期の廻ってくることを自覚して、若いときから老後に備える心の準備と敬老の精神が必要であると思います。「何時までもあると思うな親と金」という諺があります。
今は貧乏だから、親を扶養することはできないとか、お金を儲けてから親孝行すると考えていたら、何時の間にか親は年をとり、亡くなってしまいます。
また、お金もある中に大事に使わないとたちまちふっ飛んでしまう。
いずれも、なくなってからいくら後悔してもとり返しのつくものではないから、親が元気であるうちに、たとえ暮しは貧しくとも、心と態度で親を大切にして上げて下さい。
 それからお年寄りの皆さんは、自分の体は健康であると、思ってもお年寄りは体力が弱くなっています。自分の知らぬまに、どこか故障があるかも知れませんお年寄りの皆さんは全員健康診断を受けて下さい。
また、これまで実施した結果によりますと、病気のお方がかなりおられますので、どうぞ、そういう人々には医師の指示に基づいて、療養を施され、健康に充分留意して下さい。
 次に老人クラブの活動は老人みんなの親睦と地位の向上を図り、自分に適した仕事の練習、レクリエーションなど、老人の日常生活を楽しく若者に愛される老人になるためのものでありますから、今後ますます、クラブ活動をもり上げて、楽しい人生をお過ごし下さい
 最後に本年満百才の長寿をむかえられました、高志保の松田マシ様に心からお祝申し上げ、お年寄の皆さんの御健康を心から祈念いたします。

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