読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1970年4月発行 読谷村だより / 1頁

養豚団地指定受ける パイロット地区農業構造改善事業

養豚団地指定受ける パイロット地区農業構造改善事業
 七〇年代は情報化時代とか、日本の生産力が世界第二になったとか、まわりの動き、変化はすさまじいものがありますこのスピーディーな社会で農業においてもいろいろな動きがあり、自立経営農業とか、企業農業などと、農家による農業組組織化による農業、商業資本による農業、高度経済成長に対処するために、又生活水準の高度化のために、宇余曲折しているのが農業の現状ではないでしようか
 このようなときに、本村の養豚振興計画と琉球政府のパイロット地区農業構造改善事業の一つとして養豚団地構造改善事業の計画がまとまり、一九七〇年三月十一日に指定になりました又同時に施設園芸団地の構造改善事業とはどんなものであり、今度計画している構造改善事業の計画内容を紹介致します。
一 農業構造改善事業の趣旨は、
 農業政策の目標は住民経済の成長発展、社会生活の進歩向上に即応し、農業の自然的、経済的、社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるように、農業の生産性を向上し、農業者の所得を増大して、他産業従事者との均衝する生活を営むことが出来るよう農業の発展と農業従事者の地位の向上をはかることでありますそのためには各般にわたる施策を総合的に実施することが必要でありますが、農業と他産業との生産性の不均衝の背景には資本装備の相対的低位、労働力移動の不円滑および農産物需要の高度化に対する農業生産体制のおくれといった諸現象がみられ、その根底には資本と土地の零細性を特徴とする琉球農業の問題があることにかんがみ、農地保有の合理化、農業経営の近代化、すなわち農業構造の改善をはかり、あわせて、生産の選択的拡大を達成することが肝要であります。
二、農業構造改善事業の目標は、
 産地適産、生産地形成等を推進しつつ、経営構造の改善をはかり、これによって、労働生産性及び収益性の飛躍的向上と農業所得の増大を期することであります。
三、指定されました「大当原養豚構造改善事業」の目的は、
(一)養豚を主とする自主経農家の育成を目標として、
(二)繁殖豚を主体とする農家の経営規模をはかり (三)繁殖豚農家により、生産される仔豚を共同肥育する。
(四)そのことによって、繁殖から肥育までの一貫経営により所得の増大。 (五)および仔豚価格の安定を期する」と定めてあります。
四、農家の経営は、
 繁殖豚を主とした経営にし、当初繁殖豚五頭から出発し、目標と繁殖豚十頭目標にして、所得目標一、八〇〇弗を目標にする。所得確保および仔豚価格の安定をはかるため、仔豚代金の長期平均払の方法および一定額の仮払い制度を摘要し農家の経営の安定、所得確保に努める。農家の畑作経営との結合をはかり、生産コストの低減のため自給飼料三〇パーセント確保に努める。
五、養豚共同肥育場は、
 養豚共同肥育場の事業担当者は、これに参加する繁豚農家で生産団体組織をつくりこの組織が担当することになります。
 設置場所は畜産公害、地下水、海水利用、汚物処理等の見地から波平の海岸線大当原を第一候補地に考えています。
 共同肥育場の規模は通常四、〇〇〇頭飼育し、年間一万二千頭の肉豚出荷を計画しています。共同肥育場の資金調達計画は建設資金総額約十五万八千弗でその五〇%が政府補助金、四〇%が制度資金融資一〇%が自己資金で調達することになります。
 この共同肥育場の目的は前述しましたように農家所得の確保および仔豚価格の安定でありますので共同肥育場における利益は出資に対する配当ではなく、この利益を平均に仔豚代金として精算する方式になります。
六、共同肥育場と繁殖豚農家とは有機的に結合されねばなりませんので、
(イ)仔豚契約生産実施要領
(ロ)仔豚受渡要領
(ハ)仔豚長期平均払共同精制度実施要領
(ニ)仔豚評価委員の設置と評価要領
等の具体的な要領により運営されます。
七、この構造改善事業は、
 七一家計年度から調査、設計、具体的な計画がつくられ、七二会計年度に工事が着手されます。各分野で復帰対策が考えられていますが、養豚事業においても考えておかねばならないことは、日本復帰しますと、
(イ) 日本経済圏内に入りますので同じ経営能力をつくらねばなりません。
(ロ) 又日本の経済が工業中心の経済でありますので自由化という面、国際価格も充分検討せねばならないでしよう。
(ハ) 本土の生産団体は組織が整備され、強固であります。同等の組織化も考えねばなりません。
(ニ) 本土の養豚も農家養豚と農家組織による養豚が進出しています。この本土養豚とどう対処するか大きい課題と考えます。この四つの課題の結論は、このきびしさを充分認識して、積極的に対処することだと考えます。沖繩内に目を向け、沖繩の農民どうし競争してはけして発展もなければ難問題をうちやぶることは出来ないと思います。農家各位一丸となって復帰対策の一環としてこの構造改善事業を成功させていただきたいと考えます。紙面の都合で数字で説明出来ませんでしたが、最と内容が知りたい方は役所経済課まで御足労下さい。

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。