豚価を考えよう
沖繩の豚価は、昨年の後半から今年にかけて、高値を維持している。
これは、養豚農家にとって福音である。
この高値の影響と、軍解雇者の転業、または解雇予想の先取りで、養豚ブームの波がおしよせている。
この養豚ブームの中で養豚農家は、豚価の高値のかげで、養豚の先行不安(過剰生産による値下り)の錯綜した状況にあると思われます。
したがって、注意すべきは、これから現在の飼養頭数規模を拡大しようとする農家、また新しく養豚経営を始めようとする者は、
(1)現在の高値(異常高値で、これがずっと続くことはない)にまどわされてはならないこと・・・・・・いまの高値を今後も期待して事業を始め、拡大するのは危険である。
(2)豚価は、もちろんそのときの周囲の取引相場(本土の場合は、子豚は「せり市場」で肉豚は屠殺場の「せり市場」で値がつくが、その前に、養豚を始めるときに、いくらの経費(生産コスト)がかかるかを、みずからはじき出して、養豚経営が成立するという、基本原則の経営分析のうえにたって、豚価を考えること。
(3)間もなく、本土の経済圏に沖繩も入ること、したがって、現在の高値がさらに上がると水の高いところから低いところに流れるように、豚肉も価額の低いところから、高いところへ必ず流入してくる。・・・・・・・・・沖繩だけが高値といくことは 経済原則がそれを許さない。防ぎようはない。
(4)したがって、沖繩だけの高値ということは、経済原則がそれを許さない。したがって沖繩だけの高値ということは、特殊事情によることを理解すること。
(5)現在もっとも大切なことは、いかに安く仕上げることができるか、このことを真剣に研究努力することである。
(6)しかして、研究努力を重ねて、可能の限り、経営合理化を進めて生産コストを低くして、その結果なお、高値が続くならば、所得もまた増大しようというこである。
(7)最後に、別に揚げて説明する。村の計画する「パイロット地区養豚団地構造改善事業」は、現在の豚価が高値で、今後も養豚経営は健全で儲かる事業だからではない。また単に飼養豚数を拡大しようとすることでもない詳しい説明は別に譲るがそのねらいとすることは
(イ)沖繩の農畜産物も、経済も本土とひとつになる(本土の養豚経営は合理化が進められ、生産コストは、沖繩よりはるかに低い)ので、本土のそれと同水準に、いやそれ以上に経営の体質改善をするため、 (ロ)沖繩も本土も、養豚ブームの波は、人為的には仲々押えられない。したがって豚の生産は急速に増大しよう豚価の高低の周波は大体三年おきにくると、データーは示しているがその波に左右されないで、健全かつ安定する養豚経営の存立を期すためである。(ハ)そしてもっとつめるならば、現代の企業経営の厳しい状況認識を、農業者みずからの問題として、農業は別だと逃避するのでなく積極的に、意欲的に、農業の独立と存立をかけてか弱き個々の農家が力と心を結集して、自主防備を行ない戦略的経営組織をつくることである。
豚の売買市場を考えよう
豚の相場は、需要、供給の関係で値がつくが沖繩においては、その相場を客観的に、合理的に定められる取引の市場がない
ムカシからの相対売買の慣習が今日まで行なわれている実情である。
したがって、買手が売手側へ、豚を求めて個々の農家を訪れて取引きするため、多くのムダがある。このムダ不合理を早く改善しなければならないことを養豚農家全体の課題として、研究していただきたい。
すなわち、売手側、買手側がそれぞれ定った日に、定った場所で市場を開いて一時に多量の売買取引きが成立するようになると、現在のように豚を探しまわっている、ムダの労力と時間を、生産活動に振向けるとともに、求めたい豚の選択も容易にでき、また買い手を待つという売手側のもどかしさと非合理性も改善ができて、双方にとって大へん合理的であろう。
しかし、この問題は前に述べた通り、個々の相対売りの長い慣習が沖繩で強く根を張って、農家の風土にしみとおっているので、それを市場取引きに改善するには(どうしても新しい、近代的商取引きの市場取引に移行すべきである)各農家の深い理解が第一である、このことについて、
養豚農家の真剣な御検討をお願いします。
なお、このことに対して御意見あるいは問い合わせについても、どうぞお気軽に役所経済課に寄せて下さいまならば幸いに存じます
豚の登録制度について
最近、養豚農家の間で、豚の登録という話しが聞かれます。一体豚の登録とはどういうものでありましようか。
一般に登録した豚は高く売れると思われています。しかし、ただ高く売れるだけであるのでしようか。このことについて今号は説明したいと思います。
※ 登録のねらい
豚の登録の目的は、品種の純系を確保することによって、より能力のすぐれた品種の豚を確保し、改良増殖することにあります。従って、登録は一種の豚の戸籍簿のようなものであります登録することによって、その豚が他の豚より品種においても、能力においても、よりすぐれていることを証明され、それだけ純系であるということで高く売れるのも事実です。そういう点で、登録している豚は、してない豚より市場における取引では有利であることは言うまでもありません。
ではつぎに登録の種類について説明いたします。
子豚登記を受けることのでものとして、上のものきるものとして
1、両親が同一純系であること。
2、離乳前のも、里子に出されたものは純系であると確認されたもの。
3、品種の特徴をそなえて発育が良好のもの。
4、乳頭が六対以上あって配列が良く寄型でないもの
5、同腹の生産子豚で五頭以上のもの。
※ 種豚登録(本登録)
1子豚登記を受けたもので八ヶ月以上の豚
2種豚審査標準により七〇点以上の豚
※ 産子検定
1同腹生産子豚十頭以上で二〇日までの育成率八〇%以上のもの。
2生後二〇日時の子豚総体重発育斉度などを検査して、それぞれ合格したもので、その間 えさ付をしてないもの。
3寄型などがないもの(生産頭数の二〇%以内)
4二〇ヶ月で三回の産子検定に合格したもの。
繁殖能力登録
二〇ヶ月以内で三産させてその子豚が産子検定に合格したもの。
高等繁殖豚
繁殖能力登録された豚で登録点数が八〇点未満の豚名誉高等繁殖豚繁殖能力登録をされた豚で登録点数が八〇点以上の豚
今後の登録のあり方
現在までの登録に対する一般農家の関心は、ただ単に純系だから、あるいは、耳ガニ(耳標)をかけているから、少々は高く売れるから、ぐらいしか考えているよう思われますが、そう言う事も一理はあると言えますが、本当の目的は初めに申し上げたように、品質の向上と純系の確保であることは言うまでもありませんもしも、高く売れるという事のみで登録の本質を忘れるような事がありましたら本村の豚の品質、能力の低下を生じさせる原因にもなりかねないと思います。
ですから、今後の子豚登録は、
1、多産で産る数が多い。
2、子豚の発育がそろって良い。
3、より立派な体型をしている、などに気をつけてそれぞれ良いと思われる子豚を主体にして登録するようにして、その他は肉豚用にする方がよいと考えます。母豚においては、多産系で立派な体型をしている母豚は産る能力検定を是非受けるようにして下さい。この産る能力検定に合格することにより、高等能力豚が出るのであり、もし優秀な一戸の農家に五頭以上の純系母豚があり、そのうちの二〇%以上の高等登録豚を所有していたら、この農家は指定種豚場となり、また十頭以上の母豚のうち、五〇%以上の高等登録豚がいたら優良指定種豚場に指定する事ができます。そして本村に二~三ヶ所の指定種豚場が出来たら、全琉の種豚供給市場としての地位が築かれるでありましようし、本土に輸出する事も可能であります。現在、沖繩には残念ながら一ヶ所の指定種豚場がないのが現状です。本村は、一般に豚の生産地としては認められていますが、これに満足せずに、他市町村に先がけて、指定種豚場作りに努力することが必要であると思います。
農家の皆様の努力を期待したいと思います。
子豚登記、種豚登録を受ける方は、必ず各公民館に申請して下さい。種豚登記は毎月第一第三、第四、金曜日に行う予定です。子豚登記を受ける方は必ず種豚証明書を種豚の飼育者より受け取り準備しておくようにして下さい。