式辞
読谷村長 古堅宗光
本日、第八回の成人式を挙行するにあたり、前途洋々たる希望を持って、成人の日を迎えられた成年者諸君に対しまして、心からのお祝いの言葉をお贈りすることの出来ますことは、私の誠によろこびといたすところであります。
皆さんは、今年満二〇才に達しまして、法律の上からも完全な人格を認められ、自由にして独立な社会人として、ここに世に立つことになったのでありまして、皆さん自身のご満足はいうまでもなく、ご両親を始め、皆さんの周囲の方々のお喜びもさぞかしと拝察いたすものであります。
私どもも又、溌剌とした皆さんをお迎えして、いよいよ相携えて、読谷村の繁栄と発展のために力を尽すことの出来ますことは、この上もなく力強く感じ、かつ喜びとするところであります。
皆さんは、成人としてこの輝かしい出発にあたって、大きな希望と、高い理想に燃えていると思います。
戦後二七年にしてようやく祖国復帰が今年は実現するという、沖縄県民にとりましては、歴史的重要な年となりますが、この復帰成就の道は決して平坦のみではなく、険しい道程もありましょう。 それだけに、社会が皆さんに対する期待と希望も大きいものがあるのであります。
私が皆さんに、特に望みたいことは、次代を担う社会人として、大所高所から物事を十分認識すると同時に、徒らに理念や血気にはやることなく、じっくり現実を直視しつつ、まずみずからの職分に最善を尽すという余裕のある堅実な歩みを続けてほしいということであります。
人生の価値は 必ずしも地位の高低や、仕事のいかんにあるのではありません。
仕事に高低はないのでありますから、誰もが自分の仕事に愛情をもち、それに全力を尽すところに人間の喜びも、貴さもあると思うのであります。
私は皆さんのこうした、着実な歩みこそが皆さんの人生に幸福をもたらすとともに信頼を高め、社会の進展に寄与するゆえんであると信ずるものであります。
おわりに皆さんの、限りない発展と将来を心から祝福するとともに、希望の一端を申し述べて、極く簡単ではありますが、式辞といたします。
一九七二年一月十五日