読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1972年4月発行 広報よみたん / 9頁

※続き。原本 頁07~

 こうしたデイサービスと併せて、喜名公民館に続き渡慶次公民館でも「ふれあい介助事業」が開始され、いよいよ地域を網羅した福祉事業が展開されてきております。これからも地域の公民館を中心とした「ふれあい介助事業をを拡大させていくと同時に、今年度からデイサービスセンター事業と予防接種や機能回復訓練等のできる施設として「読谷村ふれあいプラザ」(仮称)を診療所の隣接地に計画し、その取み組みを開始したいと思っております。この事業は、生活を楽しみ、生きがいを持ち健康を保持する「予防福祉」的な考え方に立つ福祉環境整備の一環として位置づけるものであり、国、県などの関係機関と調整しつつ推進してまいります。
 また、老人福祉八法の改正にともない、来年度から福祉施設への入所措置事務が県から町村へ移譲されることになります。これに対応するため、本年度は措置事務の実態調査を行い、昨年四月五日に発足した高齢者サービス調整チームの活用と併せて、最も有効で適切な福祉サービスの創設を検討してまいります。
 特に今年度では、保険外医療費である寝たきり老人のおむつ代の一部を負担する老人医療費助成事業を発足させてまいります。この事業は戦前戦後を通じ、苦しい中から子育てや教育、焦土と化した本村の復興等に尽力されたお年寄りに報いるためのものであり、六十五歳以上で六ヶ月以上の寝たきり老人を対象に、在宅や入院を問わず本人や家族の負担を少しでも軽減し、相互扶助を進めようとするものであります。
 更には、老人一人びとりが地域で「生きる喜び」がわかちあえるよう各単位クラブや各種サークル活動の育成強化をはかりつつ、後期高齢者や介護需要の高い老人に対する訪問運動、ボランティアの有機的活用によって社会の功労者である高齢者の社会参加活動を積極的に進めてまいります。
 この世の中で、自分自身が好んでハンデェを背負い身体の不自由な者になった人は一人もおりません。ある日突然家族が寝たきりになり介護をする立場に立ったり、自分自身が障害を有することになったとき福祉の重要性を痛感することになります。社会的に弱い立場にある人にあたたかい心配りのある社会こそ、壮健な人にとっても住みよい地域社会であります。心身の不自由な人と健常者が生活の中で愛しあい、助けあうことが地域に生きる喜びを創造することになると思います。心身の不自由な人は、その障害ゆえに常に生きる上でハンデェを背負い、また医療に要する費用も少なくありません。こうしたことから、心身の不自由な人の健康保持と家庭生活の安定をはかるため昨年より重度心身障害者(児)医療費助成制度を発足致しましたが、村民からのニーズも高く、同事業の活用を更に進めてまいります。併せて、これらの人々に対する日常生活用具給付事業の充実をはかってまいります。
 精神薄弱者(児)の福祉につきましては、授産施設読谷福祉作業所及びかりゆし学園の運営補助を継続し、父母の会活動の活性化と福祉ボランティアヘの活動助成を拡大しつつ、地域での仲間づくりの輪を広げてまいります。
 次代を担う「人づくり」として児童福祉は最も重要なことであります。近年、女性の職場進出等によって、保育に欠ける乳幼児が増大しております。「三つ児の魂百までも」と言われるように、子供が心身ともに健やかに成長するためには、その発達段階に対応して必要な体験を積ませることが不可欠であります。家庭と地域社会(父母)の機能の再構築とその支援体制の整備もまた重要であります。家族を何よりも大切にするという意識を保育事業の内容に織り込み、講演会及び保育所での高齢者の人材活用と世代間交流が目的である特別保育事業の導入をはかってまいります。併せて、障害児母子通園保育事業所「ふくぎ」への運営補助とともに、母子寡婦福祉の強化もはかってまいります。
 社会福祉増進の立場から、民生・児童委員連絡協議会との連携は不可欠であります。これまで、各地域での民生委員・児童委員の方々の献身的な日常活動により生活指導等が行われ、生きる意欲や自立更生がはかられております。これからも、民協活動がより楽しく、誇りのある有意義なものとして展開できるよう連携を深めてまいります。また、今年度は、活動費用の増額とともに定数増をはかってまいります。
 健康で自らの人生を全うすることは、至上の喜びであり誇りであります。近年、健康体操やエアロビクスサークルなど「自らの健康は自らの手で」を合言葉に村民が日常生活の中で健康に留意した諸活動が展開されるようになってまいりました。また、高齢化社会の急速な進展と医療技術の向上、多種多様な疾病による療養給付費、老人医療費を中心とする医療費は、年々増加の一途をたどっており、その節減対策としても「健康管理」意識の高揚は重要であります。そのため関係機関と連携を密にして、「健康づくり村民の集い」等、事業を進めてまいります。
 伝染性の疾患が大幅に減少した現在、先進国の共通した死因はガン、心疾患、脳血管疾患などの成人病が占めるようになりました。これらの成人病は、日常の「生活態度」の改善で予防できるものともいわれ、そこに健康意識の高揚の重要性が出てまいりました。これまで診療所は保健・医療事業の拠点として、環境保健課との連携のもと各種の予防接種、職場検診、人間ドック、さらには老人保健事業、母子保健事業、健康意識啓発事業等を実施してまいりました。今後も村民の健康管理センター的な施設として診療所の役割は大きく、他の医療機関との連携を密にし疾病の早期発見、早期治療を促進してまいります。

(4)生活環境の整備に関する施策

 土地は限りある資源であり、その使われ方によっては地域社会へ大きな影響を与えるものであります。
 土地は、生活環境と深いかかわりをもち、自然と人間との調和のとれた秩序ある開発を推進していく必要があります。
 村民が健康で文化的な明るい生活を営むための生活環境の整備は、生活様式の変化に対応しつつ中長期的な視点から諸々の施策を取り入れ、潤いのある生活空間を創出することが大切であります。その施策は快適性、利便性、文化性を帯びた住環境の整備をめざし上水道、下水道、道路、公園、住宅等都市基盤の整備と、安全で明るく衛生的であるとともに緑と花に包まれた環境づくりがあげられます。そこで、今年度は次のような施策を実施してまいります。
 上水道は、人間が健康で文化的な生活を営む上で必要不可欠なものであり、基本的施設要件であります。本村の水需要は、人口の増加と社会環境の変化、生活水準の向上、水道普及率の向上等によって年々増加の一途をたどっております。ことに、返還軍用地の跡地利用事業の一環として施行された土地区画整理事業をはじめ、復帰先地並びに移転先地公共施設整備事業による住宅地の整備に加えて、リゾートホテルの立地は水需要の増大をもたらしております。
 このような状況のもと、村全域に良質で清浄な水を確保し安定した給水体制の強化をはかることが重要であり、これまでの送配水施設整備計画に基づき主要水道施設として県企業局の読谷調整池の整備により南部地域の配水官布設工事も実施してまいりました。
 本年度は、北部地域への配水管の直圧方式から座喜味配水池から自然流下方式に給水方法を改良するため、国庫補助事業による配水管布設工事を実施してまいります。また給水設備については地下式量水器を地上式に切り替え壁式ボックスを設置し併せて引き込み給水管の工事も実施してまいります。
 道路は、快適な社会生活を営む上で骨格をなすものであり、欠くことのできない社会資本として重要な役目を担うものであります。比謝川大橋の開通をはじめ、これまで数多くの村道及び日常生活に密着したコミュニティー道路を整備し住民生活の快適性の確保に努めてきたところでありますが、引き続き今年度は次の事業を実施してまいります。
 村道については新規事業として座喜味西線、大湾四号線を整備してまいります。また、継続事業として残波線、伊良皆二号線を整備し、さらに日常生活と深い関わりを持つコミュニティー道路についても継続実施してまいります。
 排水道の整備については、快適で衛生的な環境要件であり、今年度は楚辺~都屋排水路、伊良皆~大湾排水路、楚辺地内排水路、上地地内排水路を継続事業として整備し、集落内における生活関連排水路の整備も実施してまいります。
 下水道の整備につきましては、海や川の水質保全及び快適な生活環境を形成することを目的とした根幹的都市施設であり、長期的かつ膨大な事業となります。下水道事業は平成二年度より事業が開始され、これまで楚辺地区の地形測量や用地取得、処理場設計を実施し
てきたところであります。今年度は楚辺地域の約三分の一の区域についての管渠設計及び管渠工事を実施して行く予定であります。
 公園の整備につきましては昭和五十三年以来整備を進めてきたところでありますが、これまで児童公園十三箇所、総合公園二箇所を継続的に整備し村民の憩いの場として活用いただいているところであります。今年度は座喜味城跡公園及び残波岬公園を昨年度同様継続的に整備し早期完成に努めていきたいと思います。
 

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