読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1978年12月発行 広報よみたん / 8頁

街かどゆんたく さようなら11(足)号車 N氏に遅かった春来る

街かどゆんたく さようなら11(足)号車 N氏に遅かった春来る
 車社会にあってドライブライセンスは、私たちの日常生活にとって不可欠なものの一つ。
 その中にあって、四〇年近くひたすらに愛用の両脚十一号車をクルマ代りにし、車社会へにわかに抵抗するかに見えた地方公務員のN氏だが、この程念願かなって晴れのドライブライセンスを手にしてマイカー一族の仲間入りを果たした。
 国民皆ドライバー時代といわれる中で、氏のライセンス取得はあえて取りざたする程の話題ではないが、氏の勤める職場では「ヤッタ!バンザイ!」の大喝釆。常識では考えられない光景が展開された。なぜダ?……
 氏の勤務先は男子職員一五〇名余という活気ある職場。その中でただ一人の公認無免許者がN氏であった。氏もこのことを誇示するかの如く、愛用の十一号車(両脚)をフル運転。しかし、現代の車社会には勝てないとみて、かたくなに守りつづけていた無免許という名の堅い「かぶと」を脱ぎ捨て、晴れてドライバー仲間の一員。
 今では白髪をなびかせ、すがすがしく、軽やかなハンドルさばき。時には口笛を吹き鳴らしながらの氏の精悍な顔つきはまんざらでもなさそう。「車っていいナ」を連発する。また、車を駆使して仕事の能率もグーンとアップ「よかった!バンザイ」という周囲のよろこびがここでやっと分かるような気がした。……イヤハヤ。
 遅かれし春の到来に氏、白く「つい職務に専念する余り取りそびれた」と白髪をなでながらニタリと一笑。酒豪で知られた氏は以後酒はたしなみ程度。今では愛車の手入れに汗を流す程入念に磨きあげるマイホームパパさんに変身。
 その姿に愛妻は「飲むなら乗るな?」と強くいい聞かせています……と賢夫のN氏に投げキッスで愛橋を振りまいているとか。

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