昭和54年度施政方針 読谷村長山内徳信
第68回読谷村議会定例会は去る3月12日に開会され、3月26日までの15日間の日程で開かれた。
その中で、山内徳信村長は議会初日に昭和54年度施政方針の説明を行った。今議会(3月議会定例会)は通称予算議会ともいわれ、その予算の方向性を裏付ける重要な「カギ」を握るのが施政方針である。
山内村長は20頁からなる「昭和54年度施政方針」を25分余にわたりその説明を行った。その中で、各々の議員の協力を求めた。
尚、広報よみたんでは山内村政の「昭和54年度施政方針」その全文を次の通り広く村民にお知らせします。
はじめに
本日ここに、第六八回読谷村議会定例会の開会にあたり、昭和五四年度の予算案をはじめ諸議案の説明に先きだち、村政に関する基本的姿勢と所信の表明を行い、議員各位並びに村民のご理解とご協力をお願い申し上げます。
思うに、我々沖縄県民は悲惨な戦争体験に続く三○有余年間に、異民俗支配下における生活体験と復帰後の日本の一県としての体験をつみかさねつつあります。
沖縄の日本復帰以降の経済社会環境の厳しい情勢は今年も依然として続くものであります。厳しい社会情勢に対処するに、我々は過去の教訓に学び、事に当っては主体的、創造的姿勢を堅持しつつ、先駆的実践に学び、将来の展望を打ち立てる必要があります。
復帰に伴い、沖縄県民の社会的経済的基盤を確立するために制定された沖縄振興開発特別措置法に基づく「沖縄振興開発計画」年次も、あますところあと三年間という時点に、現在立っているのであります。
我々村民は、歴史の中における現時点を正しく理解し、時期を失することなく、時代の進展に即応した施策を進めるためには、村民が相協力し、読谷村の将来への発展の基礎を築くきわめて重要な時期であるとの共通認識を深める必要があります。
昭和五四年度は、一九七〇年代の最後の年であります。七〇年代は、「混迷と激動の時代」と言われましたが、八○年代はまさに「自治と分権」を目指す「地方の時代」と予見されます。我々は時流に流されることなく、歴史の推移を正しくみつめなければなりません。世の中がどのように変化しようと、常に、歴史の底を流れる「変わらないもの、真なるもの、善なるもの」を求め、村民の英知と力、並びに和の精神を結集し、二十一世紀に向けての、歴史の批判に耐え得る清新活力ある村づくり、即ち生活の場づくりを一歩一歩進めていく考えであります。
憲法に地方自治がうたわれてから久しい。我々は、八○年代地方の時代を目前にして、地方自治の本旨を今一度問い直し、村民と直結した村民ぐるみの地方自治のあり方を探究する必要があります。
ふるさと読谷の持つ、地域特性を活かした地域の自然環境、地域経済、地域福祉、地域民主主義を着実に開発発展させ、平和で豊かな明るい健康な村、すなわち、「人間性豊かな環域文化村」の建設を目指し、今年も更に努力を傾注する考えであります。
読谷村の将来像を一つびとつ具現化し作り上げる為には、村民の先見性と主体的な協力態勢、莫大な経費と時間を要するのでありますが、村民が必要とする生活環境並びに社会資本の整備と村民所得の向上をめざす経済基盤等の整備に一層の努力を払う考えであります。昭和五四年度も、議員諸賢並びに村民各位の積極的なご協力、ご指導を仰ぎ、村民の信頼と期待にこたえるべく、執行体制の厳正さと強化を図り村政を展開する考えでありますのでよろしくお願い申し上げます。
二、村政に対する基本的姿勢
私の村政に対する基本姿勢は、沖縄県民の歩み、歩まされて来た過去の歴史の痛みを教訓に踏え、日本の今日的政治状況に思いをいたした場合、読谷村という小さい地方自治体とはいえ、よって立つところは憲法の理念である平和主義、民主主義、基本的人権の尊重という三原則と、地方自治の本旨に基づいて確立された我が国の地方自治制度即ち住民自治、団体自治という観点に立ち、「自治と分権」を内実とする地方の時代を目指し、清新、活力ある村政を進めていくことであります。
それは、
一、平和と民主主義、人間尊重の村政を基調とする。
一、経済生活の向上安定を目指す。
一、明るい住みよい健康な村づくりを目指す。
一、民主教育、社会教育の充実と文化の発展を目指す。
一、村民の福祉増進を目指す。
一、自治と分権の確立を目指す。
以上の六項目を基調として、村政を進めて参ります。
3、本年度の重点事項
1,教育、文化の振興
1,産業経済の振興
1,社会福祉の拡充
1,生活環境の整備促進
1,地場産業の育成強化
1,読谷飛行場問題解決促進
1,返還軍用地利用の計画促進等
以上重点事項とし、次に昭和54年度の主要な施策の概要を説明申し上げます。
※写真「第68回議会定例会において昭和54年施政方針を説明する山内村長」は原本参照