〔231号2ページの続き〕
4、本年度の実施事項
一、教育諸条件の整備と社会教育、文化運動等の振興に関する施策
教育は国家百年の大計であると言われます。人が人間なり得るのも教育のおかげであり、世のすべての問題の究極は「人間のあり方」にかかっている。教育は新しい世界への鍵であります。
木村は戦前から教育村と言われて来た。私達はそのよき伝統をさらに発展させていく責任があります。
教育基本法前文に、「教育の基本理念は、日本国民として民主的で文化的な国家及び社会を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献し、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成であり、この理想の実現は根本において教育の力にまつべきものである。」と人類普遍の原理が示されたのであります。
教育の目的は、人格の完成をめざし、平和的、民主的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。
教育行政は、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行わなければならない。そこで、児童生徒が健やかでのびのびと学習できる環境を整備するため新設小学校の建設をはじめ、教育理境全般の整備と社会教育の振興、文化活動の促進、文化財の保証育成のため、本年度は次の事業を実施いたします。
一、教育諸条件の整備
本年度の学校教育環境の整備の中で、一大事業は数年来懸案事項でありました新設小学校の建設であります。これは、現在の古堅小学校の児童生徒の急増に伴ない過密化を解消し、適正規模にするためのものであります。校地を古堅公民館の西側に求め、学校建設第一年次として今年は普通教室⑧、事務室①、教材室①、生徒会室①を計画しております。分離独立によって、教育環境の適正化と教育活動の効率化を図っていく考えであります。
渡慶次小学校は継続事業として今年も普通教室⑧、喜名小学校は特別教室としての視聴覚教室①、教材室①、生徒会室①を計画しております。読谷中学校は、第三年次計画分と文部予算による不良鉄筋校舎の改築工事として、普通教室⑨、理科教室②の実施計画であります。
二、社会教育の振興
本村の社会教育(社会体育含む)は、関係者の努力と創意、関係団体をはじめ村民の積極的な協力、参加によって日常的に各種団体の学級が開設され、また、コミュニティースポーツが盛に行われスポーツの生活化が進んで参りました。
本年度は社会教育指導員を設置することにより、指導体制を強化し、社会教育振興大会をはじめ、各種学級(青、婦、老人等)を開設し、生涯教育を通して村民の社会的教養と資質の向上を目指して進めていく考であります。社会教育の拡充と各種団体の育成強化を目指し、育成団体運営講座を開設し、リーダーの養成につとめると共に、青少年の健全育成の為の子供会の育成等に努める一方、心身共に健康な明るい世づくりのために基礎体力づくり、スポーツ振興事業を活発化して参ります。また、これまで学校グラウンドだけにたより子供達のスポーツ活動に支障を及ぼしていた村民のスポーツ活動は、昨年開設した読谷村運動広場を中心に行われるようになり、村民のスポーツ熱とスポーツの生活化が一層促
進されるようになりました。本年度も運動広場の周囲の排水路とフェンス及び一部造成工事を実施して参ります。
本村の社会教育の振興が明日の読谷村の発展に大きく寄与することを期してこれらの事業を推進するものであります。
三、文化財の保護と文化運動の展開
文化が人間社会のいとなみのすぐれた開花現象であるとするならば、地方社会の充実こそ最も重要な文化の培養法であろう。地方社会の発展が文化発展の母体であることを思う時、文化論の上からも、八○年代地方の時代を重要視すべきであります。
読谷村立歴史民俗資料館を中心に関係者の努力によって先人の遺した貴重な文化遺産の収集、保護、発掘、展示等を通して文化遺産を正しく継承し、次代への新しい文化創造の礎にすべく努力が重ねられて参りました。村民は文化活動を通して、地域社会に対する深い認識と愛村の精神が生れてまいりまし
た。文化村づくりに寄せる村民の理解と協力によって、現在、県下市町村では先進的位置にああることを自覚し、今後とも相協力し、地道に着実に発展させ、新しい文化の芽を徐々に育てる環境を作る必要があります。
本村のこれからの課題は、文化のにない手としての地方(地域)社会である読谷村域で、真の文化とは何か、文化の育て方、文化母体としての地方社会のあり方等について、共通認識を深め、各分野に於て実践することが大切であります。資料館を中心に本年度は民話資料集(第二集)、読谷の文化財第二集
発行、資料館講座の開設、民家調査並びに読谷村関係文献総目録編集等を実施する。一方、史跡公園としての座喜味城跡の環境整備事業を継続して進めて参ります。
年一度の大きな祭りである「第五回読谷まつり」の開催は、本村の文化、芸術、農業、商業、漁業等の発展を目指す総合的発表の場とし、老若男女全ての村民が参加し、村民相互の親睦、融和を図りつつ、読谷村の発展への原動力たらしめるための計画であります。
二、産業経済の振興のための施策
①第一次産業の振興
本付の主要な産業は農業であります。農業については、待に復帰後本県においてもその見直しが呼ばれる中で真剣に農業問題が提起され、その施策が進められてきました。
沖縄の置かれている亜熱帯の自然条件の下で、本村の立地条件と現在の経済社会状況、あわせて将来への展望を基に総合的に判断した場合、地道ではあるが着実に村民の生活を向上安定させるためには、農畜水産業の振興はきわめて重要な課題であります。その方策として土地の有効利用と農業振興に関する諸制度の活用が最も肝心であります。
本年度の主な事業は、農業の生産基盤整備と農村の生活環境整備を一体的に進めてきた(イ)座喜味地区農村基盤総合整備事業の継続実施と、新規に(ロ)渡具地地区土地改良総合整備事業が、本年度を初年度として、昭和五七年度までに三五、六ヘクタールの農業生産基盤の整備が進められます。(ハ)ボーロポイント地区の土地改良総合整備事業の具体的な調査が開始されるなど、本村でも、いよいよ各地域において農業生産基盤の整備が活発に行われはしめました。
本村の農家所得を引き上げ、村民の生活向上を図るために農業生産基盤の整備事業と共に最も大切な事は農業用水の確保であります。自然の天候まかせの農業ではなく、サンゴ石灰岩を母材とした保水力の乏しい本村の農地でも干ばつの被害をなくするため、地元の申請にもとづいて(ニ)長浜川ダムが県営灌漑排水事業として、全体調査設計等が行われることになりました。読谷村の農家の皆様が戦前戦後を通しての夢と願いが関係地域の皆様方のご理解とご協力によって世紀の大事業がいよいよ実現の運びとなります。全工事が首尾よく完了し、農家の上に豊