読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1979年5月発行 広報よみたん / 4頁

大切に使おうかけがえのない農地 農地のことは→まず農業委員会に相談を 活用しよう安心できる各種農地制度 農業委員会の農地移動適正あっせん事業

大切に使おうかけがえのない農地 農地のことは→まず農業委員会に相談を
 「農地を貸したらもう返してもらえない」…なんて心配なされている方はいませんか。中には「荒ぶ地にしたって絶対に貸すものか」など、とかく土地(農地)に対する占有意識はまだ根強いものがあります。
 だが、心配ご無用!近年、全国的な農業の見直しの中で「農地を活かした新しい村づくり」といった運動が進められつつある中で国でもこうした動きを一層推進。「地域農政特別対策事業」などの事業を展開し、安心して農地の貸借、売買等農業委員会が仲介役となって農地移動適正化斡旋事業を行っています。
 我が国の農業も農家も農村もかっての高度経済成長の荒波の中で大きく変りました。機械化など農業生産の近代化は急速に進みましたが、その一方では兼業農家の増加、働き手の不足、虫喰い的な農地のかい廃、ことに、農業後継者の不足は深刻なものとされます。こうした中で、農地の荒ぶ地化、地力の低下などいろいろな難問題が起っています。こうした実情にふまえ、今こそ将来に向かっての”新らしい村づくり”に取り組むべき時です。そのためには農家といわず農地を保有するすべての村民が地域ぐるみで参画し、話し合い、協力しあって「農地を充分に活かした新しい村づくり」を推進して行きたいものです。
 次に、現在の我が国の農業事情の一頁をめくってみると、穀物類の自給率は三七%(昭和五一年資料)だといわれます。米の生産については過剰米だと本土では大きな農政問題となっています。反面、小麦・大豆等については極端に自給率は少なく三~四%という低いものです。
 とかく狭い我が国で農作物の自給率をいかに高めて行くか。今後の大きな課題といえます。特に農地の遊休化している現況では、資源の乏しい国情ゆえもったいない話です。
 本村においても農業用地区域内における遊休化した土地はかなりあるといわれます。先に村農業委員会が総めた資料によると農業用地区域の二八%に当る二二万坪の土地が遊休地として散在しているとのことです。(軍用地内及び長浜・座喜味を除く)。農業を志す者の中には「農地を求む」と悩む人も多いようです。その中で、本村でも第一次産業を振興する立場から安心で有利な農地の貸借、売買の農地移動の適正化事業を行っています。
 新しい村づくりを進める中で農家が安心できるゆとりある暮らしを築くために、遊休化した農地を生かした新しい村づくりを今一度村民みんなで考えてみましょう。尚、今般は「大切に使おうかけがえのない農地」と題し、安心で有利な農用地の貸借、売買の手引きから、いくつかを抜すいしその制度を紹介しましょう。

活用しよう安心できる各種農地制度
 農地は、農家にとっても、地域にとってもかけがえのない財産であり資源です。ところが最近ではこの農地の利用率が低下し、荒し作りや不作付等の現象が増えたり、地力の低下などが問題になってきています。
 今日の農村をみると、農家の兼業化が進み農業の働き手がいないとか、後継者がいないなどの理由から農業の比重をだんだん滅らして行こうという農家が増えている反面、今後とも農業で生活していくために規模拡大を望んでいる専業農家等も出てきています。
 そこで、こうした自ら農地を有効に利用することが難かしくなった農家の農地を、規模拡大を希望する農家が耕作できるようになれば、農地の有効利用の面からみて望ましいわけですが、現実にはうまくいっていない場合が多いわけです。
 そこには農地を貸してもよいと思っても「一度他人に貸したら返してもらうのが難かしいのでは」という不安感が根強くあったり、農地を売って転業資金にしたいと思っても適当な買い手が見つからないなどの問題があるようです。
 たしかに戦後の農地改革後の農地法では耕作権を極めて強く保護してきた時代がありますがその後昭和三七年および四五年の農地法改正、さらに最近では昭和五〇年の農振法改正などで、農地を安心して貸すことができる制度が設けられています。とくに最近では「正規の手続きを経ないいわゆる相対の請負耕作よりも、こうした制度を活用した方が離作料などの問題もなく確実に返してもらえ、安心できる」という認識が高まっています。
 また、農地を売買する場合にも安心で有利な制度があります。
 農地の問題は、単に個々の農家の問題としてだけでなく、地域の問題としても十分話し合いこうした安心で有利な制度を活用して解決していくことが大切です。

農業委員会の農地移動適正あっせん事業
《ねらいと特色》
 農業委員会が、農用地等を「売りたい、貸したい」「買いたい、借りたい」「交換したい」という農家の間にたってあっせんし、農用地等の移動を農業経営の発展に結びつくよう方向づけようというものです。この「あっせん事業」によった場合には、税金や融資についての大きな優遇措置があるほか、農地保有合理化事業や農業者年金基金による農地等の買い入れ、売り渡し事業などもこのあっせん事業の一環として実施されますので、農家にとってたいへん有利で、安心できる制度です。
《対象となる土地、農家》
 対象となる土地は、農用地区域内にある農地、採草放牧地、農業用施設用地および未墾地です。
 また事業の目的からいって、あっせんによって農用地等の権利を取得する農家(生産法人をふくむ)は、今後とも農業によって自立しようとする意欲と能力をもったものである必要があり、その要件などについて農業委員会は「あっせん基準」を定めることになっています。
〈手続き》
 あっせんを希望する農家や生産法人は、農業委員会にその旨の申し出をする必要があります。ただし①売り渡し、貸し付けの相手方を指定してあっせんを申し出た場合②短期間(おおむね五年未満)の使用貸借について申し出た場合は、あっせんの対象になりませんので注意して下さい。
《税金や融資の特典》
 ①あっせん事業によって農用地等を売った場合=譲渡所得税(法人税)について五〇〇万円の特別控除が認められます。(一般の場合は四三年一二月三一日以前から所有していたものに限って一〇〇万円まで控除)

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