読谷山花織 与那嶺貞さん朝日新聞社金賞に輝く
先に開かれた第十四回西部工芸展(日本工芸会西部支部・朝日新聞社主催)の審査会(五月十五日)において、与那嶺貞さにの染織・読谷山花織がみごと「朝日新聞社金賞」に輝いた。
与那嶺さんが出展した読谷山花織は自由作品の部で、五〇〇点余の応募作品の中から入賞、みごと金的をいとめたもの。与那嶺さんはこれまでにも数々の賞を受賞している。ことに第十六回日本民芸公募展(昭和四九年)において最優秀賞をも受賞されている。
一方、与那嶺さんは読谷山花織再興の生みの親ともいわれている。読谷山花織は戦後絶滅の危機に直面していた。昭和三九年「村の伝統工芸品を再興しよう」との気運が高まる中で、与那嶺さん等が中心となって古老の薄れ行く記憶の糸をたぐりながらいち早く再興に着手。読谷山花織の継承発展に尽力、その功績は高く評価されている。また、昭和五〇年三月二七日「沖縄県無形文化財技能保持者」としての認定も受けられ、現在後継者育成にたずさわっている。
読谷山花織は五〇〇年以上の古い歴史をもつ本村の伝統工芸産品で、織物としての価値は内外に広く知られている。その中で読谷山花織を本村の伝統工芸産品として位置づけ、地場産業の振興に積極的に取り組んでいる。また、昭和五五年度以降の事業計画に伝統工芸共同利用施設として「花織会館」の建設構想をもち、国・県の関係機関と調整に入っている。
読谷山花織の生産活動は日増しに増大。事業活動は読谷山花織事業協同組合(松田ツル子理事長)を中心に活発な生産活動を行っている。同事業協同組合には九〇名の織り子が参画している。それぞれの織り子(組合員)は伝統工芸の良さを継承する中にも、時代に即応した読谷山花織をめざす研究活動も活発である。尚、読谷山花織についての歴史的な背景については広報No.二三〇号「読谷の文化財No.3」で知ることができる。
(写真)第十四回西部工芸展において「朝日新聞社金賞」をいとめた与那嶺貞さん。読谷山花織の伝統工芸としての価値は県外にも広く知られるようになった。
※写真は原本参照