読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1979年8月発行 広報よみたん / 3頁

基地依存を脱し調和ある農村社会を求めて 伊波栄雄(農協職員)

基地依存を脱し調和ある農村社会を求めて
 伊波栄雄(農協職員)
 読谷村は教育に熱心で独自の歴史や文化を継承し、今日まで発展させてきた。文化活動の盛んな村と言われている。ところが第二次大戦の敗戦により、村民の生活全般は軍事基地によって制約されてきた。今なお村総面積の四七%が軍用地で、基地にまつわるいろいろな弊害を残しており、戦後処理は終ってない。
 戦後三〇余年の軍事基地とのかかわりは経済的なものだけでなく精神的にも村民から自立心を奪ったのではないだろうか。確かに民生は安定しているし、経済力も高いように見えるが、村民総所得の実態からして不動産所得と村外就労者の給与所得でその大半を占めている状況で底が浅く、土台が不安定な経済構造となっている。
 「ムラおこし」とはとりもなおさず、地域に根ざした産業の創出や既存産業の見直し等村民の力を基本とする着実な産業振興により経済および精神の自立を強化する村民主体の運動であると思う。
地場慶業創出の基軸は農業であり、第一次産業であるわけで、これを基盤として第二次、第三次産業へと結ばせる新たな産業創出の創意工夫が必要である。これには、行政指導による全村的な調和ある農村社会づくりを地道に実践しなければならない。そのためには土地問題は避けては通れないし、ムラおこしの基本的課題であると思う。
村総面積の四七%にも及ぶ軍用地問題をはじめ、返還跡地の具体的利用など土地問題は極めて難問題であり、最重要課題である。
 読谷村のムラづくり基本構想である『人間性豊かな環境・文化付』を具体化させ、村関係団体および村民の三者が渾然一体となって根気強い運動を起し、それぞれが責任分担を定めて、総合連関的に活動、実践することが不可欠であろう。
 今回の「ムラおこし講演・研究集会」は一日間の限られた日程で、かなり濃密的に「ムラおこし」に関する講演を聴き、又、村内関係者から産業おこしに対する問題提起も多くなされた。時間的な制約から一方的に聴かされた研究会ではあったが、村民の多くが参加し、「ムラおこし」を考えるための一石を投じただけでも大へん意義ある研究集会であった。その波紋の輪を広げ、ムラおこし連動の原動力を培かうことが当面の課題であり、部落を中心とする話し合いを積みあげ、村民の意識を統一し、結集することがムラおこしの手がかりを確実にするものであろう。

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