養殖漁業への転換と観光ムラおこしは一丸となって
古堅宗和(読谷漁協組合長)
ムラおこし講演会並びに研究会は本村のかかえている諸々の問題、とりわけ街づくり等、村民がその方向を求めている今日、この日の講演、報告及び村民の基本的な考え方による自立経済への産業構造の位置付け等について、具体例をあげあらゆる角度から問題を提起され非常に大きなものを得、本村振興に多くの社会勉強になったものと思います。とりわけ、地域主義ということについて感心を特ちました。地域主義時代、それは昭和三五年代から昭和四五年代をピークに高度に発展成長した我が国の地域開発に依る産業構造から生じたヒズミ・公害・乱開発、資源の問題それをとり巻く地域住民運動、即ち激動した社会の反省として、石油ショック以来低経済成長と共にこれからは個々の地域にマッチした構造の中で経済的自立を求められる時代の到来と思います。従って、本村は広大な返還軍用地をかかえこれから整備される土地、道路、集落の形成、渡具知、残波の観光整備、嘉手納町と結ぶ人的経済交流域への対応計画など大型な整備事業が山積していることは申すまでもなく、現実に個々自由選択によって定住を求め人口及び産業構造が推移して行く社会において、我が村も環境立地に叶う遊休地の開発は急務であると思う一人です。
「人間性豊かな環境・文化村づくり」という我が村の基本方針たる理想郷の目標達成、その源泉は経済開発に荷担する所が大きいかと思います。本村には大型企業の立地する環境ではないと思うが、やはり、本村の立地条件に適うその他の産業開発は絶対必要だと思います。そのことが村内就業率を高めることになると共に、郷土意識の高ようとなり、ひと一人ひとりが「ムラ」に対する目覚めが「ムラおこし」の源になるものだと思います。
そこで漁協関係者として「ムラおこし」に私見を提起いたします。まず、村おこしの基盤とするものが第一次産業の振興だと思います。我が漁協の漁業基盤の整備は大きく前進し、漁家をとり巻く生活環境は大きく変化しています。しかし、省エネルギー時代の突入と共においそれと出漁出来ない今日、楽観の許せない現状です。そこで残された生きる道、それが沿岸漁業であり、村周辺の沿岸を高率利用による漁業体の転換が不可決となります。即ち、育てる漁業養殖漁業が絶対必要です。
そのことを、ムラおこし計画等に連結し位置づけ、漁業振興計画が陸地と結ぶ計画。即ち、第一次産業と観光を結びつけるムラおこし産業が必要ではないでしょうか。そのことは海辺の整備を行ない漁業養殖場の整備と共に村民はもとより、村外の観光客にも広く利用してもらえる海、そして漁業と農業の特産品をつくり、レジャー帰りはおみやげ品として買っていただくという地域ぐるみの取り組みが必要であると思います。幸いにして農業ではスイカ、ピーマンさつまいもなどの特産品があり漁業と結びつける要素は一応整っていると思います。ムラおこしの源泉は第一産業の振興がその礎であり、その対応に一丸となって取り組む必要があると思います。先生方の講演の中にも成功した本土のまちづくりの具体例が示されたが、その気になればやれないことはないものであり、当事者の憤起と行政側のテコ入れでもってムラづくりの波のうねりをよく高く、より広く深くして行きたいものです。