私たちの国民健康保険 きびしい国保財政台所は““火の車””1人当り年間医療費は4万1、745円
読谷村においては、全村民の五六%にあたる一万四千五百八十六人の方が国民健康保険に加入し、さらに、世帯については六三%が国保加入世帯となっています。これは十世帯の内、六世帯までが国保への加入世帯であり、国民健康保険制度は村民の生活に深く根ざしたなくてはならない制度であります。
沖縄県において国民健康保険制度が適用されてから満六年目を数えます。この制度は、会社などの健康保険や他の医療保険に加入していない方にとって、なくてはならない大切な制度であり、病気やケガなどによる不時の出費に対して、ふだんから保険税を出し合い、万一に備える相互扶助の制度です。
一方、国も同制度にお金を醵出し医療費を負担、国保加入者の不時の出費に際して、それぞれ加入者の負担を軽くする。という考え方に基づいて国民健康保険制度は運用されています。そのことは、医療費の七割を国民健康保険が負担し、残りの三割は被保険者(住民)が負担する仕組で、多くの加入者から大変よろこばれています。
ところで我が村における国民健康保険特別会計の現状はというと、医療費の引き上げや、加入者のお医者さんにかかる受診件数の上昇などで、国保をあずかる台所はまさに”火の車”というのが実情です。その中にあって、先の第七〇回村議会定例会において二年ぶりに「国民健康保険税」の税率引き上げに関する議案の提案が行われ、可決されました。これにより、実質平均十六・二%のアップ率になり、国保特別会計の健全運営最少限の上げ幅にとどめています。
税率改正による保険税の適用は今年度第一期分から適用されていて、それぞれ加入者の税負担がかなり割高になっていることから役場保険年金課への問い合せがかなり多いようです。
「広報よみたん」では国民健康保険の税率改正に至るまでの背景について特集ページを組み、そのいくつかの問題点にスポットをあててみました。
国民健康保険は必らず加入しなければならない
わたしたちは、いつなんどき病気になり、けがをするかわかりません。病気やけがをしたときはお医者さんの治療をうけます。治療をうければ当然お金がかかります。お金がかかるのがいやだからとか、あるいはお金がないからという理由で、病気やけがの治療をうけなければ、わたくしたち一人びとりの幸せも、社会の発展ものぞめません。そのような不幸な事態はみんなが協力しあって未然に防がなければなりません。そのためには日頃からお金を出し合い、いざというときには国民健康保険から必要な費用を出していけば安心だという、お互いに助け合おうという考えが生まれました。いわゆる「相互扶助の精神」です。こういうりっぱな考え方にもとづいて制度化されたのが今日の「医療保険」なのです。
それはひとくちにいうと、病気やけがなどをして一家が貧困においやられ、しかも家族が離散するかもしれない事態を、地域的に協力しやすいみんなの力で未然にふせぎ「健康で文化的な生活を維持しようとする」社会保障制度の一つであります。
国民健康保険は、このように相互扶助の精神を基調にしてできておりますので、職場の健康保険、各種共済組合、日雇労働者健康保険、船員保険などに加人している人、または生活保護をうけている人以外は、すべて現住所の市町村が実施している国民健康保険に加人しなければなりません。つまり個人の自由意志に関係なく法律で強制されたものです。それ故に、保険税が高いからとか、自分達の家族は健康で病院に行ったこともないから国民健康保険に加入しないということはできません。それは相互扶助の精神に反するからであります。
保険税と普通税はどうちがうか?
市町村民税・固定資産税・経自動車脱の普通税は、税率・均等制額など地方税法できめられておりますので、同じ条件にある人ならば、日本国中どこの市町付で生活しても税額はかわりません。しかし、国民健康保険税は目的税であるために、各市町村の国保財政の状況によりて課税総額の配分方法もちがうし、所得割の税率・均等割額・一帯別平等割額もちがってきます。
ここで、普通税と目的税の賦課方法について説明しますと、普通税の場合は、地方脱法の各条文を適用して脱額を計算し、その分を徴収すればよいわけです。目的税である保険税の場合は、必要とする課税総額を決定してから、所得制にい<ら、均等割・平等割にいくらというように税額を配分してから地方税法の各条文を適用し、個人別の保険税額を決定します。
課税総額の配分方法は、所得あるいは所得と資産に五○パーセント、被保険者一人当りの均等割額と世帯別平等割額に五○パーセントの配分が基本になります。そして、所得割・資産割・均等割・平等別の四つをいろいろと組合わすと、二方式、三方式、四方式というように、三つの方法があります。本村の場合は三方式を採用し、所得割に五○パーセント、均等割に三五パーセント、平等割に一五パーセン
トの配分が基本になっております。ただし、このことは課税総額について言えることで、各個人別の保険税額の負担が、この配分どおりになっているということではありません。
以上、簡単に保険税と普通税の違いを説明いたしました。