読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1980年1月発行 広報よみたん / 7頁

語り継ごう心のふるさとを「伊良皆の民話集を発刊」

語り継ごう心のふるさとを 「伊良皆の民話集」を発刊
 村教育委員会は、読谷村民話集第一巻「伊良皆の民話」を発刊。その初版を記念する祝賀会が去る十二月七日午後七時から中央公民館ホールにおいて発刊祝賀会が開かれた。
 祝賀会には、村内民話の採集に指導助言された遠藤庄治先生(沖国大助教授)はじめ、村内民話のサークル「ゆうがおの会」会員など、多数が出席し民話集「パートワン」の発刊を盛大に祝った。
 発刊第一号になった「伊良皆の民話」はエンジ色のシックな表紙で飾られ、B5版三七二頁に及ぶもの。その中に「クラーとカンジユヤー」「親不孝なアマガカラー」など一二八の民話が動物昔話、笑話、伝説ごとに分類され、そのものズバリ方言で翻字され収録されている。民話の採集から発刊第一号まで二年の歳月をかけたといわれ、その間、村立歴史民俗資料館を活動拠点に、村内民話の会「ゆうがおの会」(神谷初子会長)はじめ、沖縄国際大学口承文芸研究会の会員が中心になり翻字作業は進められてきた。採集された民話そのものが方言で採集されたとあって、翻字作業はかなり手間どい、その中での初版とあって、翻字者の喜こびはひときわ大きく、祝賀会の席上互いにその苦節を労っていた。
 ふるさとの民話昔ばなしは、私たちが幼ないころよく耳にし子守歌がわりによく聴かされたもの。「ンカシ・ンカシヨ~」(昔々その昔)ではじまる民話は心のふるさと、その郷愁を呼び起こすもの。遠い昔から語り継がれてきた民話も今ではすっかり影を潜め、幼ない子供たちにとっては次元の昔話としか思われてなく、次第に消滅の一途にある。だが、昨今の安定経済成長時代へと移行した現代社会において、文化財に対する関心は日増しに高まり、有形・無形の文化遺産を保存・保護しようとする動きは地域運動として発展している。本村においても村立歴史民俗資料館を中心に、祖先が築きあげた文化遺産を掘り起こし、保存継承に務めている。
 文化遺産の中でもことに民話については、心の郷愁を呼び起こす無形の文化遺産である。本村における民話の採集は昭和五一年「民話講座」開講を機に一気に高まり、村内民話のサークル「ゆうがおの会」が発足。同会には世代を越えた多くの年齢層が参画、民話の採集に積極的な活動を始めた。以来、今日まで村内のお年寄りの協力を得る中で、三六〇〇余りの民話を採集、そのものズバリ方言で採集され、一二八巻のテープに収録、貴重な文化遺産として保存されている。それぞれの民話はすべて翻字に回され、全十五巻に総められ製本される予定。すでに第二集「喜名の民話」の編集がはじまり来年三月末には発刊される予定になっている。
 尚、第一巻「伊良皆の民話」は二千部発刊され、ご希望の方は一部二干円で.頒布している。人取希望者は、村立歴史民俗資料館で買求め下さい。
 (写真)㊤読谷村の民話第一集の初版を記念する祝賀会。㊦村内各地における民話の採集。生きた文化財、老人の記憶を熱心に採集し三六〇〇余の民話が収録された。

※写真は原本参照

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