過料 法令上の義務励行促す
「過料」ということばは耳なれないことばかもしれません。過料にはいくつか種類がありますが、ふつう問題になるのは”秩序罰”としての過料です。これは、わたしたち国民が法令上の義務に違反した場合に加えられる制裁で、裁判官の裁判によって、一定の金銭の支払いを命じられるものです。
といっても、過料は罰金ではありません。
罰金は、懲役や禁固、科料とならんで刑罰の一種ですが、過料は刑罰ではないのです。法律上の義務違反にはちがいないが、刑罰を科するほどのことはないという場合に、過料が科されると一言ってよいでしょう。
そんなことから、同じ読み方をする刑罰の「科料」と区別するために、「過料」を「あやまちりょう」、「科料」を「とがりょう」と呼ぶことがあります。
では、どんな場合に過料が科されるかというと、いろいろあって、とても全部はあげられませんが、よく問題になるのは、法令上、一定の期間内に提出しなければならないこととされている各種の届け出を怠った場合で、次にあげるようなものです。
〔住民基本台帳法関係〕
▽転居届=同じ市町村内で引っ越しをしたとき、十四日以内に市町村役場に出すべきもの。
▽転出届=他の市町村へ引っ越すときに、あらかじめ現在所の市町村役場に出すべきもの。
▽転入届=これまでとは違う市町村に引っ越したとき、十四日以内に新住所の市町村役場に出すべきもの。
〔戸籍法関係〕
▽出生届=生後十四日以内に出すべきもの。
▽死亡届=死亡したことを知った日から七日以内に出すべきもの。
過料金の金額は、転居および転入・転出届を怠った場合が二千円以下、出産・死亡届を出さなかったときは三万円以下となっています。
このような過料-金銭の負担を科すことによって、義務の励行を促し、制度の円滑な運営をはかっているのです。