読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1980年4月発行 広報よみたん / 2頁

昭和55年度施政方針 一、はじめに 二、村政に対する基本的姿勢

昭和55年度施政方針
 読谷村議会(新垣秀吉議長)の第80回村議会定例会は去る3月12日午前10時から開かれました。今議会には村当局から昭和55年度一般会計予算案をはじめ24議案を提案。3月31日までの20日間の会期日程で開かれました。
 3月議会定例会は、通称予算議会ともいわれ、4月1日から執行される昭和55年度予算案についての審議が行われます。中でも、新年度予算の重要な裏付けとなる年度当初の「施政方針」は予算成否の重要な「カギ」を握るものとされ、山内徳信村長は開会の冒頭17ページから成る昭和55年度施政方針の演説を行い、それぞれ議員の協力を求めました。
 私たち村民にとって、村政を知り村政の方向性をもつ施政方針はとかく関心が深いものといえます。広報よみたんでは山内村政の「昭和55年度施政方針」を広く村民にお知らせしたく、と共にご理解、ご協力を賜りたく、その全文を4ページにわたり特集ページを組みました。

一、はじめに
 本日ここに第八○回読谷村議会定例会の開会にあたり、昭和五五年度の予算案をはじめ諸議案の説明に先立ち、村政に関する基本的姿勢と所信の表明を行い、議員各位並びに村民の御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 思うに、沖縄県をとりまく内外の諸情勢は厳しく、一段とその度を増しております。日本復帰以降の社会経済環境の厳しさのみではなく、加えて、世界の政治情勢も緊迫し、基地の島沖縄はその影響をもろに受けている昨今であります。とりわけ読谷補助飛行場内における昼夜の別なく行われている米軍の村民無視の落下傘降下演習は、正に常軌を逸した許し難い行為であり、村民の立ち上りがなければ戦場の村と化する恐れさえあるのであります。我々沖縄県民は悲惨な戦争体験者であり長期の異民族支配下の生活体験を有する者としてその重みを忘れてはなりません。我々は今の状況でいくと再び戦争へ巻込まれる危険性のあることを深刻に受けとめ、過去の教訓と反省に学び、事に当っては主体的、創造的な姿勢を堅持し、平和と人間存続のため、自覚的に不断の努力をつづけなければなりません。
 又、復帰後の沖縄振興のために制定された沖縄振興開発特別措置法もあますところあと二年間であります。時代の進展に即応しつつ、かつ、将来への展望に基づき本村の社会的経済的基盤の整備を進めていかなければなりません。
 今年は、一九八○年代に向けての第一歩を踏み出した年であります。八○年代は「自治と分権」を目指す「地方の時代」といわれております。中央志向的発想ではなく「地方の時代」が強調される今日、最も重要なことは、村民が歴史の推移を正しくみつめ、時流に流されず、主体性を確立しささやかな精神的改革が必要であります。換言すれば地域に立脚した強靭な自治の精神が必要であります。
 憲法に地方自治がうたわれてから久しいのであります。「地方自治とは何か!」「地方の時代とは何んなのか!」と我々は新たな気持ちで地方自治の本旨を今一度問い直す必要があります。自治の精神を土台にして八○年代に向って出発しようではありませんか。
 読谷村の村づくりは、ふるさと読谷のもつ地域特性を活かした開発発展でなければなりません。即ちそれは読谷村の将来像である「人間性豊かな環境・文化村」をつくり上げることであり、その為には、村民の先見性と主体性、思想性と芸術性、政治性に裏打ちされた思考が極めて大切であります。
 今年も生活環境の整備をはじめ、地域経済、地域福祉、地域の教育文化、地域民主々義を一歩一歩実現するため、村民の英知と協力の輪を広げ、清新活力ある村づくり(生活の場づくり)を更に押し進めていく考えであります。
 昭和五五年度も、議員の皆さんをはじめ、村民各位の積極的な御指導、御協力を仰ぎつつ、村政を進める所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。

二、村政に対する基本的姿勢
 私の村政に対する基本姿勢は、沖縄県民の歩まされてきた過去の歴史の痛みを教訓に踏え、現下の日本の政治状況に思いをいたした場合、読谷村という小さい一地方自治体とはいえ、よって立つところは憲法の理念である平和主義、民主主義基本的人権の尊重という三原則であり、憲法第九九条は、すべて
の公務員に憲法を尊重し擁護する義務を負わしております。
 一方、地方自治の本旨に基づいて確立された我国の地方自治制度、いわゆる住民自治、団体自治という観点に立ち、「自治と分権」を内実とする地方の時代を目指し、清新、活力ある村政を進めていくことであります。
 それは、
一、平和と民主主義、人間尊重の村政を基調とする。
一、地域の産業経済の向上安定、活力ある地域づくりを目指す。
一、民主教育、社会教育の充実と文化の発展を目指す。
一、村民の福祉増進を目指す。
一、明るい住みよい健康な村づくりを目指す。
一、自治と分権の確立を目指す。
以上の六項目を基調として村政を進めて参ります。

※写真「第80回村議会定例会において昭和55年度施政方針を説明する山内村長」は原本参照

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