読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1980年7月発行 広報よみたん / 9頁

第13回婦人の主張大会から すすんでガン検診を受けよう 知花喜美子

第13回婦人の主張大会から すすんでガン検診を受けよう 知花喜美子
 第13同村婦人主張大会が去る7月6日午後2時から中央公民館ホールで開かれ、会場は400名余りの聴衆で盛況を呼んだ。
 同大会は、日頃、家事や育児にせわしい主婦の立場から広い視野にたって、移り変わる国際情勢を直接、間接に様々な影響を受けている日常生活をみつめて問題点を捉え、婦人の訴えの中から生活にうるおいを見出し、人づくり、村づくりに寄与し、会活動の充実を図りたい-。とするのが主なねらいである。
 今大会には6名の婦人会代表が演壇にたち、それぞれの生活体験に基づいて、家庭にそして地域に内在する問題を深く掘りさげ、熱ぽく堂々と主張していた。一方、会場を埋めつくした聴衆はそれぞれ発表者の主張にメモを取りながら熱心に聴き入っていた。
 尚、審査の結果はいずれも優秀発表者とあって審査員泣かせ。総合審査の結果で知花喜味子さんが頭ひとつリード、村代表として中部地区大会に派遣されることになった。以下知花さんの主張を紹介します。

 忘れもしません、去年の九月二七日、私宛に婦連からの封書が届きました。
 ガン検診を受けたのが八月一日、その後二ヶ月近くもなり、その事は、まるっきり忘れかけたころのことですので、何事かと開いて見ると、「要す精密検査」と書かれた文書と医者への紹介状が入っておりました。その時のショック、そして目の前が暗くなり胸の動き、手と足のふるえをどうしてもおさえることが出来ませんでした。
 一晩中泣き明かし、夜があけるとともに中部病院へ行きました。今はまだ三〇代、ガンという文字など、ほど遠いと検診をうけたことがなく、全く始めてのガン検診で、ひっかかってしまったのです。
 病院の待ち合い室で待つ時間の長いこと、そして診察、婦連の結果には、「子宮ケイガンのうたがいあり」と記され、十五日組織検査の手術の為入院するようにといわれました。家に帰る車中流れる涙をふくことも出来ずただ祈るだけでした。
 どうか後十年、多くは望みません、せめて十年の命を私に下さい。この三人の子ども達が成長するまでは、こんな病気に負けたくありません。お願いしますと祈りながら帰って来ました。
 そしていよいよ五日間入院し、退院後十一月二日に結果がわかるので来院するようにとのこと。その日までの時間が長く、また短かくも感じられました。子どもたちの顔を見ては泣き、寝顔を見ては涙、そしていよいよ十一月二日が来ました。名前を呼ばれ診察室に入ると主治医の先生は、私の結果表を見て、「安心なさい、今は手術する必要はない、そのかわり半年に一度の検診を必ず受けること、あなたはガン検診を受けて本当によかったね。運がよかったんだ。組織検査の手術で少し異状の個所は取りのぞいてあるから、もう心配する必要はありませんよ」といわれた時、私はこの先生が神様に見え、診察室を後にして廊下ですれちがう人、バス停の人、バスの中の人たちに、あまりの嬉しさに、「こんにちは」と大きな声で挨拶してしまったのです。あの時の嬉しさは、今だに忘れることが出来ません。
 私たちは、ガンの恐ろしさは知っていても恥かしさと、もしや悪い結果が出たらということが先になり、検診を受けるのが、おっくうになりがちです。
 まず「子宮ガンから婦人を守ろう」をスローガンに県婦連のしあわせ号でのガン検診を始めたのが、昭和四三年で今年で十三年目をむかえております。
 十三年の年月の中で多くの方の子宮ガンが発見され、現在幸せに元気で暮らしている方が大勢いらっしゃいます。過去十三ケ年の検診の結果としては、読谷村をみてみますと受診者八千百二十六名、要精検六二名、ガン十五名の数字が出ています。この結果を見ますと千人の中二人はガンの結果が出ているということは、まだガンの率が高いということです。ガンの外にも多くの病気を発見することが出来るのです。例えば、膣炎の膣の炎症、ビラン、出血性ビラン、子宮脱、ポリープ、ガンジダ、それにトリコモナス、このトリコモナスという結果が出た時は、婦人だけの治療では治らないそうです。夫婦一緒に協力して治療を要するという事だそうです。
 こうして、いろいろな病気を早期発見して治療することによって私たち婦人は、健康で明るい毎日をおくることが出来るのです。
 更に昨年一ケ年の読谷村婦人会のガン検診では、八百十四名が受診され、トリコモナスが十二名、ガンジダ一名、ホリープ二名、膣炎三名、要精密検査十名の結果が出ております。
 又、昨年五月から去った四月までの県婦連の結果のまとめをみてみますと、二万六千十二名の受診者の中から、五二三名の要す精密検査の通知を出して、四月末までに三八名しか治療を受けておらず、後の四八五名はまだ病院に行っていないということです。
 現在ガン死亡者が増加している中で、減ってきているのが、子宮ガンです。子宮ガンは、早期の中に安易に見つけることが出来、したがって治しやすいガンの一つといわれています。定期検診を一度も受けたことのない三〇代の婦人が病院に来た時は、手術のしようもない程すすんでおり、幼い子どもを残して亡くなられた例もあると、いつかの新聞に報告されておりました。
 又、六十代以上のお年寄も異状があって始めて病院をおとずれ、悪い結果になるのが多いようです。そういう悲しい結果にならないように私たちは、ガン検診を受けようではありませんか。幸わいに致しまして、村婦人会では今年は五回の検診を予定されています。そして更に恵まれていることは、村の補助をうけて千二百円の受診料も六百円の費用で受けられるのです。
 私たち読谷村から一人でも子宮ガンで亡くなる方を出してはいけないと思います。早期発見で一〇〇%治るものを恥かしさを考える前にまずガンの恐ろしさを知って下さい。恵まれた環境に住んでいる私たちは、婦人の義務としてガン検診を受けるべきです。
 私は声を大にして、皆様に訴えたいのです。自分の健康管理の為にも、楽しい豊かな家庭を築くためにも、おくすることなく、恥かしがることなく、年一回或いは二回の子宮ガン検診をすすんで受けようではありませんか。

※写真は原本参照

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