平和を尊び二度と過ちを繰り返すな-戦争と人間展-
残忍な戦争、悲惨きまわりない戦争、人類の滅亡へとつながる忌まわしい戦争、その過ちを二度と繰り返してはならない。この願いは平和を尊ぶ一億国民、全人類の願いでもある。
あれから三五年。先の大戦、あの悲惨な忌まわしい戦争体験を後世に語り継ぎ、平和の尊さを体で体得しようと金城実氏(大阪在住・彫刻家)制作の戦争と人間彫刻展全国キャラバンが盛況を呼ぶ中で、読谷編が去る八月四日~七日までの四日間村総合福祉センター中庭で開かれた。
「戦争と人間」その彫刻物(レリーフ)は縦四メートル、横十二メートルという戦争の悲惨さを克明に訴えた超大作である。この大レリーフは金城氏が先の沖縄大戦をテーマに、県民の怒りと怨念を刻み込み、三年の歳月をかけ仕上げたものだという。その中で全国をキャラバン、反戦・平和とは何かと各階層の人に問いかけ、戦争の悲惨さ、平和の尊さを力強く訴える大レリーフの超大作である。
開催場所になった村総合福祉センター中庭には先の戦争体験者の参観者も数多く、中にはあの時の悲惨な光景を思い起こしてか、身震いし目頭にハンカチをあてがう老人の姿も見られた。また、開催期間中は夏休みとあって子供会・友人同志・家族ぐるみで多くの村民が「戦争と人間展」を参観し、反戦・平和の尊さを身をもって体得していた。
一方、金城氏は大レリーフ(浮き彫り)を前に制作の背景を都度説明し、中でも児童を前にしての説明には一段と熱ぽく、分かりやすく説明していた。とくに土についての説明には児童たちは身を乗り出して熱心に聞いていた。氏の説明の中で土には生きた土と死んだ土(通称教材用粘土)とがある。生きた土は尊い生命力を培い生命の源泉である。現代ッ子の「土は汚い」というイメージを取り去り、生きた土で大いに遊ぼう。と話を誘導したあと本論の大レリーフの説明に入るあたりはさすが芸術家。
「戦争と人間」氏の全国キャラバンは激戦の他我が沖縄が最終開催地。巨大な大レリーフのテーマも沖縄民衆の姿を描いたもので、戦争を憎み、反戦・平和を問いかけるに最大効果をみせた「戦争と人間展」であった。
あれから三五年。戦後派人口が五〇%を越えた今日、先の大戦の忌まわしい情景、二度と過ちを繰り返してならない。
「戦争と人間展」-平和の尊さを問いかけるのに良いチャンスとなっていた。
※写真「大レリーフを前に反戦・平和の尊さを訴える金城実氏」は原本参照