新春を迎えて 読谷村長 山内徳信
村民の皆様!明けましておめでとうございます。
謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
「光陰矢の如し」「歳月人を待たず」と云われておりますように年月のたつのは早いものです。
昨年は多事多難な年でありましたが、村民各位の御指導、御支援によりまして「人間性豊かな環境・文化村」づくりが、大きく前進した年でありました。新年を迎えるに当り心から敬意と感謝の意を表する次第であります。
人間は、長い生活の中で、自分達の生活と時間の流れの中に一つの節目(けじめ)をつけることを考え出したのです。それが一月一日、元旦であります。地球が太陽のまわりを一廻転し目盛りの頂点に達した時です。
私達は、正月を迎えることによって、気持も新たになるものであります。
村民の皆様には、輝かしい新春を迎えられ、新たな希望と決意に燃えておられることと思います。どうぞ、八一年度も、世の荒波に屈せず逞しく生き抜かれますようお願い申し上げます。
村民の皆様!八○年代「地方の時代」を村民の手で打ち立てようではありませんか。
八○年代は「地方の時代」と云われております。地方の時代は中央政府によって与えられるものではなく、地方(読谷)に住む住民の先見性と自主、主体性、創造性を基に、覚めた意識に裏づけられた実践によって、はじめて実現するものであります。
かえりみるに、基地問題として、トリイ通信隊の下水道問題が改善されたのをはじめ、読谷補助飛行場内の米軍落下傘降下演習場の撤去問題は、日米外交ルートに乗り、移設作業班が設置され、具体的に検討が進められております。日米の厚い壁を動かし情勢を進展させることが出来つつあるのは、村民の生命と財産を守り、平和を愛するという、良識と団結の力の生命という成果であります。今年は、問題解決を更に前進させる為に、取り組みを一層強化し、目的達成まで頑張りぬく決意を村民共どもに固めたいと思います。
昨年は又、「人間性豊かな環境・文化村」づくりを目指して実践している本村の歴史上、特筆すべき年でもありました。それは、「ヤチムンの里」「総合福祉センター」「古堅南小学校」等々の開所であります。詳しく述べる紙幅はありませんが、それぞれ、汗と涙の思い出があり、村民の心暖まる御支援、御協力に対し、深く感謝の意を表するものであります。
村民の皆様!みんなの努力によって平和な社会を作りましょう。
現在の社会は人類にとって「終りの時代」と云われております。終りの時代を終らせてはなりません。
日本の政治情勢は、今!改憲論と国防論を中心に、ものすごい勢いで、軍国主義化、戦争の方向へ進んでおります。これは正に危険な道への歩みであります。
三五年前の八月、広島と長崎に原子爆弾が投下されたのを境に、人類は滅亡の時代に入ったのです。終りの時代(核戦争によって)を終らせてはいけないのです。我々は我々の世代と人類存続の為に生き抜かねばなりません。
軍備の拡大によって、国民や国民生活が守れると考える人がいるとすれば、それは大きな拠りであります。戦争は人間の生活問題を何一つとして解決しません!何一つ!、悲惨にするだけであります。
今日の核兵器の時代の戦争には勝利ということはありません。あるのは、相互の滅亡と人類の終りがあるのみであります。
平和は人類最高の理想であり願いであります。その輝かしい実現の為に、一人ひとり新春に決意を新たに頑張ろうではありませんか。
おわりに、村民各位の御健康と御多幸を祈念し、新春の御挨拶と致します。
※写真は原本参照