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1981年2月発行 広報よみたん / 6頁

診療所だより №2 塩見裕一 胆石症

診療所だより No.2 塩見祐一 胆石症
 私達の身体の右上腹部には胆のうという袋がぶらさがっています。そこに石が出来る病気を胆石症といいます。日本人の成人の十人のうちの一人が、胆石症で、最近、ますま増えています。石の種類にはコレステロール系の石とビリルビン系の石がありますが、前者が七〇%を占めるといいます。だから美食家、大食い、早食い、肥満の人に多いのです。また、精神的ストレス、女の人の帯やコルセット、体質も影響します。
 一口に胆石と言っても右上腹部にさしこみ発作をくり返し、黄疸(身体が黄色くなる)や高熱が出て命にかかわる暴れん坊の石もあり、その反対になんの症状もない静かな石もあります。
 次にどういう症状があれば胆石を疑うかというと、第一に激しい刺すような痛みがみぞおちから右上腹部に移ってくること、第二に右肩、右腕、右の背中のあたりに痛みが響くことです。昔から言われている胃ケイレンの自覚症状も重要です。また、糖尿病や膵炎、肝硬変の患者も胆石をよく合併しています。
 しかし、症状が起こる前に自分には胆石があるのかどうかを検査しておきたいものです。最近の人間ドックに必ず含まれている胆のう造影法がそれです。診療所の場合、検査前日に胆のうを写し出す薬を飲んでもらってレントゲンで撮ります。他に超音波検査、症状が進んでからの血液検査尿検査もあります。
 最後に胆石の保有者は胆道ガンにかかり易く石のない人の十倍の率であると報告している学者もいます。まだ直接的な因果関係は証明されていませんが、恐らく石の慢性的な刺激ではないかと考えられています。

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