不作が伝えられる今期さとうきび搬入 生産予想高24,000トン
波打つ銀穂のさとうきび畑。北風にあおられ、大きく小さく左右になびくさとうきびの穂花。そのあい間をぬって野鳥の群れが飛び交う情緒豊かさは沖縄ならではの風物詩ともいえることでしょう。
ところで、今年も一月二三日から昭和五五年~五六年期のさとうきび搬入が始まりました。不作が予想される中で操業は四月中旬までのロングランになるとか。とかくきび作農家にとっては一年で最も忙しいシーズンを迎えたことになります。
さとうきび搬入作業は、以前はゆい共同作業が主でした。しかし、近年にいたっては家族、親戚を単位とする搬入作業に変りつつあり、何かとのどかさをみせる収穫風景です。
二月ともなれば、さとうきび搬入作業は最盛期。しかも厳寒期にあって、過労による病気が心配されます。ことに今年は一段と寒さはきびしく、この時期の健康管理には充分気をつけなければなりません。
ところで、先に読谷農協がまとめた今期さとうきび搬入予想高は二万四千トンとまとめました。これは昨年実績より四千トン少ない生産予想高です。
年ごと着実に村内でのさとうきび生産量を伸ばしていたことからして、今期の減産は生産農家にとって、大きな痛手になっています。
今期搬入高は昨年に比べ収穫面積が十一ヘクタールも減少していることも起因するものですが、その主な不作の原因は、生育徒長期における長期の干魃、熟成期を目前にしての台風と、まさにダブルパンチを受け、不作に一暦拍車をかけられたことによるものです。
搬入作業に汗を流す農家は節間の短かさに嘆きの声もポツリきこえ、遅々として進まない収穫にあせる農家の顔もみられます。幸いにして、野ネズミの被害の少ないのがせめてもの救いだといいつつ、手に鎌を持つ農家の顔は一向に冴えません。それでも収獲を急ぐ農家は来期に夢をつなぎ、せっせと汗を流す姿はいつもと変らぬ風景で、沖縄農村社会の風物詩のひとつとでもいえることでしょう。
ともかく沖縄産業の基幹作物さとうきび搬入作業は四月中旬まで続きます。健康管理には充分気をつけて下さい。