読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1981年4月発行 広報よみたん / 2頁

昭和56年度施政方針 はじめに

昭和56年度 施政方針
 読谷村議会(伊波栄徳議長)の第94回村議会定例会は去る3月12日午前10時から開かれました。今議会には村当局から昭和56年度一般会計予算案をはじめ29議案を提案。3月28日までの17日間の会期日程で開かれました。
 3月議会定例会は、通称予算議会ともいわれ、4月1日から執行される昭和56年度村の予算案についての審議が行われました。なかでも、新年度予算の重要な裏付けとなる年度当初の「施政方針」は予算成否の重要な「カギ」を握るものとされ、山内徳信村長は開会の冒頭30ページから成る昭和56年度施政方針の演説を行い、それぞれ議員の協力を求めました。
 私たち村民にとって、村政を知り村政の方向性をもつ施政方針はとかく関心の深いものといえます。広報よみたんでは山内村政の「昭和56年度施政方針」を広く村民にお知らせしたくと共にご理解、ご協力を賜りたく、その全文を5ページにわたり特集ページを組みました。

はじめに
 本日ここに第九四回読谷村議会定例会の開会にあたり、昭和五六年度の予算案をはじめ、諸議案の説明に先立ち、村政に関する基本的姿勢と所信の表明を行い、議員各位並びに村民の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
 さて、本年度は、沖縄県民が悲惨な太平洋戦争を体験して以来三六年目になります。又、米軍統治を断ち、日本復帰をして新生沖縄県が誕生して十年目を迎えることになりました。復帰の際の目標は「核も基地もない、平和で明るい豊かな沖縄県づくり」でありました。
 ところが、十年後の今日、沖縄県をとりまく内外の諸情勢はますます厳しく、平和を求める県民の願いとはうらはらに、戦争への道につながる改憲論や軍備拡張の動き、自衛官募集業務の自治体への委託等、誠に憂慮にたえない状況であります。
 基地の島沖縄は、日本の政治状況をはじめ、世界の軍事情勢の影響をまともに受け、県民の生存そのものが不安にさらされている島であるという自覚的現状認識が必要でありましょう。人類は今や、力の政治論と核戦争の危機にひんしているのでああります。
 我々は、再び戦争に巻き込まれることがないように、戦争体験の教訓と反省に学び、日本の平和憲法の理念に基づいて、読谷村民は、今こそ、中外に向って声高らかに「平和への宣言」をするものであります。
一、我々は平和を守り、人類の存続と文化の発展のために奮闘する。
一、我々は、我々と我々の子孫の幸福をめざし、平和な社会を実現するために奮闘する。
一、我々は、読谷補助飛行場内の米軍落下傘降下演習に反対し、敢然とその撤去を求め、更に、同用地の返還問題は、戦後処理を求める人間的な斗いであり、平和で明るい豊かな村づくりの為に、一層の団結の下に村民主体の超越的な斗い、歴史的な闘いを構築し奮闘する。
以上のことを村民とともに決意するものであります。
 人類は今や、広島、長崎の原爆投下を境に、人類滅亡の危機の時代に入ったといっても過言ではありません。将来の戦争には勝敗はなく、あるのは相互の滅亡のみであります、平和に勝る福祉はなく、平和は人類最高の理想であり、理想に向って最善の努力をするのが、人間の崇高な使命であります。
 従いまして、読谷村は政府の出先機関ではなく、一つの地方自治体であり、自治体としての主体的判断にもとづき憲法の精神に反し、人間の生命の尊厳さを否定する軍国主義的政策や自衛官募集業務等に対しては、それを拒否する毅然たる態度を堅持していく考えであります。
 一方、復帰後の沖縄振興開発のために制定された沖縄振興開発特別措置法もあますところあと一年で最終年次を迎えるのであります。その間、国県の御理解と御指導助成策を得て、諸種の施策を進めて参りました。戦後処理の問題を中心に社会資本の整備、生活環境の整備、生産基盤の整備、教育諸条件の整備等々一定の成果をあげてまいりましたが、それをふまえ、今後とも時代の進展に即応しつつ、かつ、将来への展望に基づき、本村の社会的、経済的、文化的基盤等の整備を進めていかなければなりません。
 地方の時代が提唱されている今日、中央志向的発想ではなく、「自治と分権」を目指す地方の時代を前進させるため村民の英智と力を結集する必要があります。
 そこで、最も重要なことは、村民がたえず歴史の教訓に学び、安易に時流に流されることなく、地域に立脚した自治の精神に基づいて「村民の村民による村民のための地方自治」を主体的に確立することが必要でありますそのために、村民一人びとりが「地方の時代とは何か」、「地方自治とは何か」を考え、日常的に実践することが大切であります。
 読谷村の付づくりは二一世紀に向けての世づくりであり、ふるさと読谷のもつ地域特性を活

※写真は原本参照

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