落ちてきよるパラシュートが 古堅小六年・古堅豊
「あ!パラシュートが落ちてきよる。」「あんちゃ、落ちてきよる。」-とあちこちから話しが聞こえ、ざわめいてきた。
米軍のパラシュートが三つふわふわと幼ち園の上の方を通って、さとうきび畑に落ちていった。このパラシュート本当なら飛行場に落ちるはずなのに、僕たち、古堅小の真上をゆうゆうと降下していった。
朝礼後、教室で先生が話しをされた。「みんなパラシュートを見たね。あのパラシュートはとてもおそろしいのよ。一つまちがえて、運動場に落ちたら、たくさんの死しょう者が出たかもしれないよ。あのロープに引きづられたら首が切れる事もあるよ。それから、十六年前に喜名小学校四年生の棚原隆子ちゃんが、庭に落ちてきたパラシュートのトレーラーにおしつぶされて、死んだっていうこともあったよ。今、考えても毛がよだつね。」と話してくれた。その話を聞いて、はじめて、ぼくはパラシュートのおそろしさをしった。
今まで、パラシュートは、軍用地ではない場所に何度も落ちたことがあるそうだ。役場のパラシュート落下事故の写真やきりぬきを見ると、パラシュートは、楚辺、高志保、喜名、宇座、座喜味、伊良皆とか、いろいろな場所に落ちたことがある。しかし、米軍は「一つまちがえた」といって、父母の抗議からのがれようとする。もし、パラシュートで住民が死んだら、一つまちがえたではすまされないと思う。座喜味ではかわら屋根がくずれおちたという。人の足で、かわらがくずれおちるというのだから、人の上に落ちたら、どうなるか知れない。もし、朝会の時、僕らの上に落ちていたら、と考えるとゾッとする。
米軍には、何度も抗議しているが、ちっとも聞いてくれない。沖縄の土地はアメリカ人に自由に使われて、何もできない。早く、米軍を読谷から追い出し、安心して住める村にしてほしい。
僕たちは、パラシュートのニュースを聞くたびに「あぶないなあ。住民地に落ちなければいいのになあ。」と思って、いつもぴくぴくしている。
※写真「古堅豊」は原本参照