歳月人を待たず(10歳~14歳)育ち盛りの時期こそ体力つくりを 子供の基礎
生涯で心身の発達が最も著しく、また、個性がはっきりしてくるのは十代の前半で、この時期は、まさに「育ち盛り」といえます。
一生のうちで二度とないこの育ち盛りの時期に、自らを鍛え、いかなる苦難をも克服できる「たくましい体と豊かな心」を培っておくことは、変化の激しい社会にあって常に自己を充実し、生活を向上させていくための基礎づくりとして欠かせないことです。
十歳から十四歳までの育ち盛りの子供の基礎体力つくりに当たって、特に次のような点に配慮しましょう。
「歳月人を待たず」-育ち盛りのこの時期に、ムダに過ごした一日の損失は、大人になってからでは一生かけても取り返すことはむずかしいものです。鉄は熱いうちに打て-この時期の体力つくりは特に大切です。
十代の前半は、身長が伸びたり、体重が増加するといった単に外見上の変化だけでなく、心臓などの内臓や、骨格筋のような組織も時々刻々と成長し続けます。
生涯に二度とないこの育ち盛りの時期に”体力つくりなどは大人になってからやればよく、重要なのは良い上級学校に入るための受験勉強をすること”というような考え方をしていたのでは、取り返しのつかない体になってしまう危険があります。
「よく学び、よく遊べ」といわれるのは、勉強だけでなく、基礎体力をつくるための運動も、一日の日課の中で十分に行っていかなければならないことを教えでいるのです。
いくら学校の成積がよくても、体をだめにしてしまったのでは寂しい人生になってしまいます。
体力は自分自身の心がけでつくっていくものです。わずかばかりの成功に満足するのでなく、ある目標に達したら、さらにもう一段高い目標を決めて意欲的にがんばるようにしたいものです。人間の生涯で、打ち込める何かを見つけた者は幸せです。
「火事場のばか力」というのは、必死になれば思いがけない大きな力が出るものだということを表す言葉ですが、自分にどれだけ伸びる力があるのか自分の責任で自分を伸ばしきるようにさせましょう。
その場合、弱点にはあまりこだわらず、得意なところを伸ばすことが大切です。弱いところも伸ばしていく気持ちを捨ててはいけませんが、短所ばかり気にして消極的になると、長所も伸びなくなってしまうことがあるからです。
駆けっこは遅いが相撲には自信がある、球技はダメだが器械運動は得意-というような、この運動だけは友達に負けないぞというものを見つけて、日々それに打ち込める子供は幸せです。
こうして得られた勇気と自信は精神面はもとより、体力つくりにも大きな効果をもたらします。
運動やスポーツを日常の生活のリズムの中に組み込んで、できるだけ毎日続けさせましょう。
体のいろいろな器官は、連動による刺激を与えないと退化する一方です。ふだんの生活で、歩いたり走りたりする連動を根気よく続け、足腰を鍛えることが大切です。
朝夕の時間を利用して、急歩や駆け足、なわとび、腕立て伏せ、相撲の四肢(しこ)を踏むなど手軽にできる運動を選び、たとえ十分でもいいですから長く続けさせるようにしましよう。
また、体力つくりは、なにも運動やスポーツに限ったことではなく、日常生活のいろいろな面で、体を動かすことが基本になります。
朝起きたら、布団をたたみ、掃除をするなど家事手伝いを進んでやらせるようにし、積極的に体を動かす習慣を身につけさせることが体力つくりにつながります。