読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1981年11月発行 広報よみたん / 12頁

ワァー!おいしそう 渋柿です。見るだけにしてネ

ワァ~!おいしそう 渋柿です。みるだけにしてネ
○…朝夕めっきり涼しく時には膚寒い思いさえ感じさせる昨今です。空には秋の夕陽を背にした赤トンボが飛び交い、野山のススキは今盛りとばかり白穂の波を大きくなびかせ自然のサイクルは深まりゆく晩秋の気配を感じさせています。
○…晩秋!そういえばあちこちの庭先に見られる柿の実も今盛りとばかりまっかに熟れて、食い気を誘うものです。
 ここ(写真)知名定規さん(大湾四五九の一)の中庭の柿の木もそのひとつです。二メートル余りに成長した柿の木には細枝いっぱいにまつ赤な柿の実がつき、生ツバを飲むほどです。今にも折れ落ちんばかりの柿の実は秋風にふかれ左右に大きくなびき、道行き交う人たちの目を楽しませています。
○…この柿の木は同家の長男・定夫さん(二七歳)が小学生の頃に種を植えたという。初めて食べた柿のおいしさを忘れられず、こども心にして「早く大きくな~れ」と毎日水をかけて育てあげたもの。今ではテニスボール程の柿の実が枝たわわに実り、その数は二〇〇個を軽く越して、年ごと実つきは多くなるばかりだとか。柿の実は、当時の定夫少年の思わくに反して渋い柿へと変身、定夫さんはガッカリしたという。「これが甘い柿だったら」と毎年柿の実が色づくころ定夫さんは少年時代を思い出し喉笛をピクつかせてうらめしそうに柿の実とにらめっこするとのことです。
○…サルカニ合戦ではないが、近くのワンパク坊主たちは柿の実を一個また一個と失敬。渋柿とは知らず口にほうばり込む少年たちは、いきなりペッ!と柿をはき捨て苦虫面を食って走り去るウーマク坊主たちの後姿につい筈笑いする定夫さん。それにしてもみごとな実りの柿だこと。今では道行き交う人たちの目を楽しませています。(写真十月二〇日撮影)

※写真は原本参照

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。