そんちょう日記 №7 読谷村長山内徳信
春三月といえば、自然の花は咲きほころび、児童生徒は入学式、卒業式と夢と希望にもえる時期である。
先日(三月二〇日)、母校読谷中学校の卒業式に参加した。わたくしたち親の世代が体験した卒業式のイメージとは変って、厳粛(けんしゅく)さと規律の中にも、明るくさわやかな気持のいい卒業式であった。それは、生徒と職員が真心こめてつくり上げた手づくりの温みのある卒業式であった。
体育館の中央に演壇を設け、生徒が育てた菊の花でそれをかこみ、卒業生と在校生が向き合って座っている。「飛躍。そして旅立ち」が卒業式のテーマであった。
式のクライマックスは何と云っても、後半の「四つの拍手」の時であった。卒業生も、在校生も、先生方も、父母もみな、感激と興奮を覚えたであろう。第一の拍手は、卒業生全員が起立して、先生方に対する感謝の言葉と拍手であった。第二の拍手は、卒業生から父母への感謝の言葉と拍手であった。第三の拍手は、卒業生から在校生に対する別れと感謝の拍手であった。第四の拍手は、一段と大きく在校生、先生方、父母からの卒業生に対する「大きくはばたけ!」という期待の拍手であった。
わたくしは、母校の後輩にあたる卒業生に対し、「卒業生の皆さんが、いつの日か、母校を訪ずれる時、胸をはって、僕を生んでくれた父母よ、僕を育ててくれた師よ、僕をきたえてくれた母校よ、ありがとう」といえるたくましい人間になって下さい、と門出(かどで)の言葉をおくった。
九年間の義務教育を共に過してきた卒業生にとって、それぞれの進路にもとづいて歩みはじめた第一回目の卒業式である。
今回卒業した若人(わこうど)(読中284名、古中217名)の前途に限りない希望と幸せ、そして平和が訪ずれることを願わずにはいられないのである。その為に、私達は日頃から戦争のない平和な社会を築かねばならない。それは大人の責任である。