新春を迎えて 読谷村長 山内徳信
村民の皆様!明けましておめでとうございます。
謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
今年も正月がやって参りました。大自然の移り変りは、誠に神秘的であります。人間は、四季折々の変化の中で生活をし、正月を厳粛な気持で迎え、新年に対し新たな決意と希望をいだくものであります。
村民各位におかれましては、多事多難な年ともお別れして、輝かしい一九八三年を迎えられ、良い年になりますよう心から祈念申し上げる次第であります。
昨年は、本村におきましても激動の一年でありました。三四年ぶりの村長選挙に引続き村議選挙と、村民の皆様方には心のやすまるひまもない一年でありましたが、読谷村政の円滑な推進と村民福祉の向上という深い認識の下に、村議会をはじめ各種団体、村民各位が寄せて下さいました御理解と御協力・御支援に対し心から敬意と感謝の意を表する次第であります。
村民の皆様!ムラづくりは村民の汗と涙の結晶としての、共同作業であり共同作品である。
過ぎゆく年をふりかえってみた場合、終戦後三七年沖縄が日本復帰を実現して十一年目、村民の総意として村政を担当させていただき「人間性豊かな環境・文化村」づくりを提唱して以来、九年目に入りました。お陰様で、村民の善意と御協力によりまして、一歩一歩着実に前進し、個性的でユニークなムラづくりを推進することができました。ふりかえってみて、どの仕事(事業)をとってみても、そこには村民の夢とロマンがあった。それは役場職員と関係地域の皆様による、汗と涙のドラマであり、汗と泥にまみれた苦闘の成果であります。即ち、読谷村のムラづくりは、正に村民と役場職員による共同作業であり、共同作品であった、という感を深くするものであります。更に、各団体がそれぞれの立場から「人間性豊かな環境・文化村」づくりの理念に視点を合わせて取りくまれていることに敬意を表すと共に、新年度に当りましては、村民の英知と力を結集して、さらに村づくりの輪を広めていただきますようお願い申し上げる次第であります。
村民の皆様!非核宣言の村、読谷から反戦平和を高らかに叫ばねば、再び戦争の道へ…・・・。
日本は幾千万人の国民(兵士)を戦争によって失った。同時に日本は他のアジア諸国への侵略戦争の加害者でもあった。従って、日本国民は戦争の本質と実態を十分知っており、その結果、戦後、平和憲法を制差したのであります。喉元(ノドモト)過ぐれば熱さ忘れる、といわれる通り、今や日本政府は、軍備拡張への道を臆面(オクメン)もなく推し進めようとしております。これは日本国民の自滅への道であり、人類滅亡への危機さえ含まれております。この動きに歯止めをかけ得るのは、平和を願う大衆の世論以外にありません。
新年に当り、本村議会が決議した非核宣言の主旨に基づいて、人間としての誇りと勇気をもつって反核・反戦を、危機に瀕(ひん)した人間の叫びとして訴えなければなりません。何故ならば、人間社会の中で「平和にまさる福祉はない」からであります。
一九八三年の年頭に際し、「平和の問題」を真剣に考え実践する年たらしめることを願うものであります。
おわりに村民各位の一層の御健康と御多幸を祈念申し上げ、新春の御挨拶といたします。