読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1984年3月発行 広報よみたん / 11頁

みつめよう少年たちの未来 非行と家出の防止

みつめよう少年たちの未来 非行と家出の防止
 三月は”節目の月”です。
 進学や就職を目前にした少年たち、また、この時期に転勤する父親などもいて、ふだんと違ったあわただしさがあります。進級、卒業、友人との別れ、新しい環境への期待と不安……。少年たちの心は揺れ動いています。そして毎年この時期になると、非行や家出が多くなります。
 この”節目”の月を機に「みつめよう、少年たちの未来」-と題してスコープしてみました。

非行家出は”現実”からの逃避
 非行に走ったり家出をした少年や少女に総じて言えることは、彼らが「現実から何らかの方法で逃避しようとした」ということです。「いざこざの絶えない家庭」「不快な学校生活」「たいくつな毎日」……自分たちがとらえたそんな”現実”に対して、彼らは「面白くない」「ムカつく」と、自らを非行や家出へと駆り立ててしまったのです。
 「本人の心の問題」と突き放す前に
 もちろん、非行に走ったり家出をする少年は、全体から見ればほんのひと握りです。彼らは特に神経が過敏で”心の弱い”人間だったのかも知れません。しかし”本人の心の問題”と突き放す前に、昭和五十八年版警察白書を基に、非行や家出の背景とその土壌について見てみましょう。少年たちの未来をねじ曲げた責任の一端は、わたしたち大人にもあるのですから。
 欲しいから取る 万引き・盗み
 デパートやスーパーなどで金を払わず商品を持ってきてしまう。広場や駐車場に止まっている自転車・オートバイを盗む-万引きや盗みの動機で一番多いのは、「欲しかった、だから取った」という単純な利欲によるものです。次いで「遊び半分」「好奇心から」「スリルを味わう」といった理由です。昭和五十七年中に補導された少年・少女の六割が「万引きや盗み」によるものです。
 親や教師の態度に反発 暴力
 先生や友達をなぐる、教室の窓などを壊す-校内暴力の約九割が中学校で起きています。また、教師に対する暴力事件のうち、検察官に送られた少年について、その保護者の養育態度を見ると、保護者の約七割が自分の子供を「放任」しています。
 一方、家庭内暴力の被害者は六割が母親で、過半数の人が子供に対し「過保護」「過干渉」「でき愛」-という結果があります。
 ”一度、試してみるか” シンナー遊び
 シンナー、接着剤、トルエンなどの薬物乱用で昭和五七年に補導された少年は、全国で約五万人(村内では二四名)。これは昭和四十七年に規制されて以来、最高の数字です。シンナーなどを吸った動機は、「好奇心から」「仲間と遊ぶため」「快楽を得るため」といったのが七割を占めています。さらに、その入手方法を見ると、「友人からもらった」が一番多く、全体の約三割を占めています。
 大人の世界への好奇心 性非行(女子)
 昭和五十七年中に性非行で補導された女子について、そのきっかけを見ると「誘われて」「だまされてに「脅されて」を引き離して、過半数が「自分から進んで」性非行に走っています。
 また、その動機では、「好奇心から」「セックスが好き」「遊ぶ金欲しさ」が多くなっています。
 そのほか「相手が好きだから」という理由がある一方で、「自暴自棄」も少なくありません。高校生に多い非行ですが、中学生も増えていて、全体の約三割を占めます。

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