文化村読谷村に故堀田清治画伯の名作26点寄贈-動く美術館10周年記念として-
日展参与、新槐樹社代表でありました故堀田清治画伯の名作二六点が本村に寄贈されました。
これは「動く美術館」沖縄第十回展記念として、故堀田清治画伯夫人栄子様や動く美術館運営委員長川島博先生(美術評論家)の本村に寄せる絶大な御厚意によるものです。
地方文化の啓発向上と、青少年の健全な情緒教育を目的に運営され、地方にいながら日本最高の芸術を観ることができる「動く美術館」も今年は十周年を迎えることになり、各開催地で大きな感動を呼び、その運動の主旨と果した役割の大きさは高い評価をうけています。
十年に及ぶ各地での巡展は一五〇回を数え、沖縄においてもスタート以来毎年開催され今年は十回目を迎えます。
今回動く美術館の十周年記念として県内に寄贈された作品は全部で三一点です。寄贈作品の贈呈式は、去る一月二四日、那覇市の沖縄山形屋の「動く美術館沖縄第十同展記念の開催セレモニーの席上で行なわれ、村長が出席贈呈を受けました。贈呈にあたり、川島博先生は、「今回の寄贈は『動く美術館』十周年を記念して行なわれるもので、その主旨に従い、地方文化の啓発と青少年の健全な情緒育成に役立ててほしい。作品はいずれも日本を代表する名作であり作家の心であり分身であります。県民の貴重な文化資産として愛蔵して下さい。又、読谷村に贈られる二六点は昨年二月他界されるまで日本洋画壇の巨匠として心打つ感動の名作を発表しつづけた故堀田清治画伯の大作であります。
堀田氏は、ゴッホ、セザンヌ、ルオーあるいはヴラマンクに傾倒しながらあくまで東洋の思想と宗教に根ざした独自の芸術創造を追求、生動の画家と呼ばれ、強じんな生命力と鋭い洞察力、表現力で構成された精神具現の世界は、東洋のルオーといわれるほどです。」と語りました。
第四回の動く美術館読谷展は、去る二月十日より村福祉センターで開催、連日村内、村外からの参観者でにぎわいを見せています。特に村内の各小中学校では振り替え授業を行ない、子供達が美に解れるすばらしい機会となっており、熱心に見入る風景が見られました。川島先生も子供連の質問に気軽に答え、絵に対する子供達の純粋な感動、その観賞力の高さに感心されておりました。
川島先生より読谷村へ五百万円の寄贈
川島先生は、動く美術館十年の歩みの中で特に読谷での開催は、その文化村づくりと、子供達の熱心さに大きな感銘をうけておられ、二月九日動く美術館読谷展の前夜祭の席上、村より寄贈作品の額装代として差し上げた五百万円をうけたあと、「読谷村の文化振興基金」として役立ててほしいと、あらためて寄贈されました。
山内村長は、絵画、さらに五百万円の寄贈に対し深く感謝し、「日本洋画壇の巨匠故堀田清治画伯の大作が沖縄、特に本村に二六点寄贈されることは、日本の文化史上全く前例のない快挙であります。堀田画伯のご遺族や川島博先生のご厚意に深く感謝申し上げます。ご奇贈いただきました堀田芸術の名作は、「動く美術館」の主旨を生かすとともに読谷村の貴重な文化遺産として愛蔵し、さらに平和な文化村づくりを推しすすめていきます。」と感謝の意を述べました。
読谷村を心のふるさとに 故堀田清治夫人来村
「堀田清治の絵がある読谷村は私の心のふるさとです」故堀田清治画伯夫人の、栄子氏は、去る一月二五日、本村を訪れこう語りました。
「動く美術館」十周年を記念して故堀田清治画伯の名作が本村に寄贈されるのを機に来村されましたが、沖縄へこられるのも今回がはじめてという堀田夫人、上品さとやさしい人柄がうかがえるすばらしいご夫人でありました。
村内をごらんになった後夫人は「最初はずいぶん遠くへ主人の絵がいくんだなと思いましたが、皆さんのすばらしい村づくりを見せて頂き安心しました。これからも時々絵を見に参りますのでよろしくお願いします。」と語っておりました。
※写真「寄贈作品の前で川島先生(中央左)堀田婦人(中央右)と記念撮影(26点で時価8億9千万円以上)」、「読谷を心のふるさとして」は原本参照