読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1985年6月発行 広報よみたん / 5頁

金城次郎氏の人間国宝認定を祝う 曽根信一氏が記念講演 文部大臣より認定書交付される

金城次郎氏の人間国宝認定を祝う
 重要無形文化財保持者、金城次郎氏の認定祝賀会が去る五月十五日、福祉センターホールで盛大に催されました。
 祝賀会には金城次郎氏夫妻を始め、親族、山内徳信村長、議会議員、各区長、村民、約三百名が出席した他、屋良朝苗元県知事、知英英夫元県議会議長もかけつけ、喜びを共にいたしました。
 山内徳信村長は「今回の金城次郎氏の人間国宝の認定は、沖縄では初めてのことであり、地元村民はもとより、沖縄県民の大きな喜びであり、誇りであります。又、このことは、沖縄の陶芸に打ち込む後進の方々にも自信と勇気を与えるものです。
 金城次郎氏の作品は、生き生きとした躍動感あふれるものばかりで私たちに心のやすらぎを与えるものです。
 氏の益々の御健康と御活躍を祈念いたします。」とあいさつし、さらに金城次郎氏の六〇年にわたる輝やかしい陶歴とおおらかな人柄を紹介いたしました。
 又、屋良朝苗元県知事も「金城次郎氏の六〇年の努力が報われたものです。氏がその作品を仕上げる時、無心であり全心全霊をかけて打ちこまれていることだと思います。単なる技術のみでなく精練された全人格による作品であるからこそ我々の心をうつわけです。
 読谷村は文化村であり、その文化村の中心となって金城次郎氏が活躍されております。今後も読谷から多くのすぐれた陶芸家を輩出させて下さい。」と祝辞を述べました。
 この後、祝宴に移り、役場職員による古典音楽で幕あけし、続いて読谷山花織で装った村婦人会がかぎやで風を披露、又、渡慶次小学校三味線クラブも琉球音楽演奏で祝宴を盛り上げました。

曽根信一氏が記念講演
 金城次郎氏の人間国宝認定祝賀会では、曽根信一氏(沖縄民芸協会副会長)が「金城次郎氏と壷屋と読谷山」と題して記念講演が行なわれました。その中で金城次郎氏が登り窯を求めて読谷村に移った経過、さらに、那覇壷屋焼以前にあったと言われる喜名焼について語りました。
 講演では首里王朝時代、各地にあった焼物が那覇壷屋に集中されていく中で文献からも姿を消していった喜名焼は、その後の調査によりその存在が明らかにされただけでなく、むしろそのすぐれた技術は広く知られていたことが判明している。金城次郎氏が読谷に窯を開くにいたったことは、焼物の古い歴史にもどったことを意味するものではないか。又、壷屋の人々の祖先は読谷ではなかったか、と興味深い考察が加えられていました。

文部大屋より認定書交付される
 重要無形文化財保持者金城次郎氏に去る五月七日、文部大臣より認定書が交付されました。
 交付式は、東京葵会館暁の間で午前十一時三〇分より行なわれ、松永文部大臣から直接、保持者へ認定書が交付されました。認定書を手にした金城氏も同行した夫人や親族、山内村長とともにあらためてその感激をかみしめました。
 交付式にあたり松永文部大臣は「皆様の努力と功績に深く敬服するものです。きびしい道を歩み、日本の伝統を今日に受けついでこられました。我国の伝統文化の発展のため益々の研鐙と後進の指導をお願いします。」とあいさつをしました。

※写真は原本参照

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