福祉を支える人々 地域老人家庭奉仕員①
福祉は社会を支える大きな柱です。めぐまれた人、あるいはめぐまれない人、様々な人々が集まって形成されている社会の中で、大きくは、行政の中で、又、地域ではボランティアの手で、福祉活動が展開されています。
全ての人々が幸福に生きるためには福祉は欠くことのできないものと言えます。本村は福祉村としても県内外に大きな評価を受けていますが、その一つに本村独特の地域老人家庭奉仕員というのがあります。
広報ではその制度と奉仕員の方々を紹介してみたいと思います。
喜ばれる家庭奉仕員制度
昭和三八年に老人福祉法が制定されて以来、行政による老人福祉の拡充が進められてきました。その一つに老人ホームの増設によって、ねたきり老人、一人暮らしの老人の収容が計られてきましたが、老人社会とまでいわれるようになった今日、ホームの絶対数の不足は、要保護の老人をそのままにしてしまうという問題が残りました。
又、担当職員による訪門にも限界があり、このため本村では、地域ボランティアによる家庭奉仕員制度を昭和五五年にスタートとしこれまで四三名の家庭奉仕員が、ねたきり老人や一人暮らしの老人の身の回りの世話をし、喜ばれてきました。
現在二五名の奉仕員がそぞれマンツーマンで対応しており、定められた訪門日以外にも時間を作って訪門を続けています。
地域の家庭婦人が奉仕員となっていますが、家族ぐるみで対応している奉仕員もおり、その光景にはほのぼのとした温さがあり、お年寄りにとって何よりの生きる支えとなっているようでした。
松田孝子(二七才)(楚辺二〇三八-二)
派遣世帯
比嘉ウト(八二才)(楚辺二〇三八一二)
奉仕員の委嘱は昭和六〇年十一月、以前にも奉仕員として頑張っていましたが結婚後転出し、その後現住所へ転入してきて再び奉仕員に、比嘉ウトさんは八二才の高齢にかかわらず、大変元気ですが、足が弱いのと、耳が悪い上に、一人暮らしの寂しい老後を送っていました。奉仕員制度のおかげで毎日が楽しそうです。お年寄りには何より話し相手になるのが一番だという孝子さん。屋敷内ということもあって、よく目も行きとどくということです。
いっしょに並んでいると本当のおばあちゃんと孫のように仲むつまじい
トーフや大根が大好きでテレビを見たり、皆で食事をするのが何より楽しいというおばあちゃん。奉仕員にまかせっきりではなく、できることは自分でやり、規則正しい生活をすることが健康の秘法だそうです。この日、村の担当職員と保健婦も一諸に訪門すると、にこやかな顔でむかえてくれて、しきりに茶菓子やお茶をすすめてくれました。
派遣世帯には奉仕員の世話の他、定期的に、保健婦や医師が健康チェックに訪門します。これからも、お元気でいて下さい。
佐久川敏子(四五才)(古堅八六七-二八)
派遣世帯
池原ウシ(七七才)(大湾五五二)
昭和五六年から奉仕員をされている佐久川さん。明るいお母さんの感じがしました。
子供達も大きくなった佐久川さんは、時間を作っては一日一度は足を運ぶそうですが、一番気をつけているのは、池原さんに心配をさせないことだそうです。
池原さんは、足と目が少し不自由ですが、それ以外はいたって健康。
一人暮らしのおばあさんにとって佐久川さんは実の娘のようにかわいい存在のようです。
佐久川さんも、おばあさんからの電話にはすぐにかけつけてきて行事々々のごちそうを準備したり、買物をしたり、大変だと思われる老人の世話も楽しそうにやっています。
時々は家族でやってきては楽しい話に笑いが絶えないという。池原さんも大変な話し好きで、大正琴や琉歌をたしなむ芸達者です。私達の訪問にも、琉歌をいくつか聞かせてくれました。
佐久川さんは、「自分もいつかは年をとるし、その時には、皆にたすけてもらわなければなりません。この仕事ができてうれしいです。本当にすばらしい制度ですので是非続けてほしい。」と語っておりました。
※写真「-老人福祉施設での研修風景-この他、老人食実習、介護実習などが行われ奉仕員の資質の向上がはかられています。」は原本参照