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第四章 読谷飛行場転用計画(案)
一、転用計画の基本的視点
当読谷飛行場用地は、読谷村第一の平野である。この平野は戦時中日本軍の臨戦飛行場として接収使用され、「戦争が終れば土地は返す」と説明が行なわれた。日本軍の約束したことが、今やっとはたさ
れようとしている。
戦後四十年目にして、「読谷飛行場転用計画」に基づく戦後処理が実現されようとしており、村民が長く待ち望んでいたことである。
この用地を器として二十一世紀に向けての新しい村づくりが歩み始めたのである。それは戦争にうちひしがれ、基地の重圧に岬吟してきた村民の未来に対する夢と希望の実現であり、子孫に対し、より人間的に、より文化的に、より平和的に生きんとする村づくりの実践の場所である。
さらに、二十一世紀の歴史の批判に耐え得る村づくりの拠点として、沖縄の亜熱帯農業としての黄金の花をさかせる場所であり、さらに、公共公用施設を位置づけ、人々の英知を結集し、従来の発想を越えた人間の夢とロマンを実現する中心地域として活かしていく場所に展開することである。
二、立地特性と役割
(1)むらづくりの中心地域
当用地は南北市街地の間にあり、周辺における宅地化や総合福祉センターをはじめとする伝統工芸総合センター、勤労者体育センター及びスポーツの拠点運動広場等の施設が立地するなかにあって、本村の中心地域となってきており、今後この立地特性を充分に生かしたむらづくりが重要な課題である。
(2)大きな開発可能性
本村は戦後ほとんどの村域を軍用地に占有され、そのはざまで今日の社会を築いてきた。徐々に返還が進んでいるものの、今なお主要地域は軍用地に制約されている。とりわけ当用地は村の中心地域にあるとともに面積が二五五・五haと大規模であり、本村のみならず沖縄にとっても大きな開発可能性を有している地域である。
(3)至便な広域交通の活用
本村の中央部を縦断して国道58号が通過し、これに県道6号及び12号が接続して村内を連絡している。当用地は国道58号に近接し、県道に囲まれた交通至便の位置にあり、この広域交通の利便性を生かした利用が課題である。
(4)期待される広域的役割
本村は沖縄本島中南部都市地域の西北部にあり、国道58号により中南部圏と北部圏とを連絡している。また本村は都市・農村・自然が調和した地域特性を持ち、中南部都市地域と北部観光レクリエーション地域とを結びつける役割を担っており、当用地はこれに応え得る広域的機能の導入が期待されている。
三、利活用の基本方針
当用地の転用計画の基本的視点及び立地特性の役割を踏まえ、利活用の基本方針を次のように定める。
(1)新しい中心地の形成
本村の中心地域にあるという立地条件を生かし、村民の生活や諸活動の拠点となり、かつ一体的な村づくりを推進する新しい中心地の形成をはかる。
(2)総合的なむらづくりの推進
また、この用地の特殊性と開発可能性を最大限に発揮する意味において、土地の利用区分を大きく二つに分けるものとする。
その一つは、亜熱帯性気候を活かした新しい沖縄農業を確立すべくその拠点とする。
第二点目は、公共公用地を配置し、読谷村の行政及び教育文化、産業経済、スポーツ等の拠点形成をはじめ、広域的な施設及び交通網を設置するなど、二十一世紀を目指した総合的なむらづくりの推進をはかる。
(3)沖縄振興開発の促進
本村が沖縄本島の中南部圏と北部圏との接点にあるという広域立地性を生かし、広域道路交通の拡充とあわせて広域施設の配置をはかり両圏域を結合するとともに、相互の発展と沖縄の振興開発の促進をはかる。
四、土地利用構想(案)
利活用の基本方針に基づきかつ諸問題の解決に配慮して、つぎのように土地利用構想を立案する。(別図参照)
(1)基本配置
①中心地の形成を担う公共公益施設用地を中央部に配置しセンター地区とする。その周辺は産業開発を担う農業用地とする。
②中央部に国道58号バイパスを計画し広域道路交通の拡充をはかると同時に、広域施設を導入し中南部圏と北部圏とを結びつける広域的役割を果たすものとする。
③このバイパスにそってロードパーク(大規模緑道)を配置し、将来そこを中心に交通の街を形成させ、地域経済活性化の拠点として多様な利用計画をはかり、本村の南北市街地を結ぶとともに、村民や来村者に親しまれるシンボルゾーンの形成をはかる。
(2)施設等整備方向
①農業用地は農業生産団地として土地基盤及び近代化施設の計画的整備を進める。
②読谷飛行場用地の土地秩序を回復させ、正常な形の土地利用を確立するために土地改良事業を導入し、農業生産