福祉を支える人 家庭奉仕員②
比嘉秀(五十六歳) 伊良皆二二九-二
派遣世帯
比嘉カマ(九十一歳) 伊良皆一九三
奉仕員の委嘱は五五年の六月で比嘉カマさんのところは二人目の派遣世帯です。カマさんが九一歳という高齢であるため、一番気をつかっているのは健康で、毎月一~二回は病院へ通っているそうです。足が弱いのですが、普段はとてもお元気で庭いじりをしたりもするカマさん。秀さんが用事で来れない時は、淋しがったり、心配をしたりで、翌日訪問すると、しきりに「昨日はどうしたの」と訪ねるほどだそうです。一人暮しのカマさんにとって、やはり一番の楽しみは人と話をすることだそうですが、耳が悪いので秀さんを通して話をするのがやっと、それでも、口数も多く明るいおばあさんでした。
秀さんは、子供も手がかからなくなったので、奉仕員を始めたのですが、「最初はカマさんと心を通わせるのに苦労しましたが、今では本当のおばあちゃんのように家族ぐるみで世話をしています。
こんなユニークな制度は読谷でしかできないと思います。お年寄りにとっては大変よいことだと思います。」と語っていました。
松田初子(四十二歳) 座喜味三四七
派遣世帯
松田太郎(七十二歳) 座喜味三四七
奉仕員の委嘱は、五六年六月、松田太郎さんの世話を始めてやがて六年、松田さんは、下半身が不自由にもかかわらず、屋敷内に野菜作りをする働き者で、それが一番の楽しみのようです。初子さんも一緒に野菜作りを手伝ったりしながら、いろいろ教えてもらっているようです。季節くには取りたての野菜を分けてもらうこともあるとか。松田太郎さんは、奉仕員の初子さんについて、「とてもありがたいと思っています。一人ぱっちで、生活が荒れたこともありましたが、自分の世話をしてくれる人がいると思うと元気も出るし生きがいもわいてきます。今は楽しくやっています。」と語っていました。
初子さんも、太郎さんの身のまわりの世話をしながら野菜づくりを教えてもらったり、昔話を聞かしてもらったりで、奉仕員を始めたことを喜んでいました。
高良末子(三十六歳) 喜名二〇四
派遣世帯
新里ヨネ(七十五歳) 喜名二四二
今年の二月に奉仕員に委嘱されたばかりの高良さん、八歳、四歳二歳の三人のお母さん。子供の世話をしながらの仕事に一生懸命のようす。洗濯、そうじ、食事の準備とこまめに動いています。
具志川から読谷に嫁いできて、八年、地域に何か役に立てることがあったらと思いつつ、奉仕員を始めたそうです。
新里ヨネさんは、昨年まではゲートボールをしたり、家の前の畑仕事をしたり、とても元気なおばあちゃんでしたが、足の手術をして、奉仕員の世話が必要になりました。「一時はどうなるかと思いましたが、奉仕員のおかげで助かりました。本当にありがたいことです。だいぶ回復しているので、もう少しだと思います。よろしくお願いします。」と語るヨネさん。
高良さんは、ヨネさんから手料理を教えてもらったり、昔の話をしてもらったりで、大変良い勉強になるそうで「昔の人が言ったのは、何でも正しいことが多いな、」といまになって感じているそうです。
※写真は原本参照