読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1986年8月発行 広報よみたん / 4頁

読谷山花織の振興発展をめざす-伝統工芸産業振興シンポジウム- 有望な伝統工芸 伝統を踏まえて創意工夫を

読谷山花織の振興発展をめざす-伝統工芸産業振興シンポジウム- 有望な伝統工芸 伝統を踏まえて創意工夫を
 本村の伝統工芸品である読谷山花織の振興発展を目的とした-読谷山花織振興シンポジウム-が去る八月五日村福祉センターホールで開かれました。沖縄県が主催し、読谷山花織事業協同組合が共催、読谷村が後援となったこのシンポジウムに村内外から多くの関係者が参加し、注目を集めました。
 シンポジウムでは、講演、産地報告、全体討議が進められる中で、読谷山花織の高い将来性が確認された他、産地の企画力、製品への創意工夫が今後の発展の決め手となることなどの指摘がされました。

 読谷山花織への高い感心を示して会場には村内外から二百名余の関係者が詰めかけ、熱心に耳を傾けていました。
 沖縄県商工労働部観光、文化局々長饒波正之氏のあいさつの後、「月刊染織」編集長の富山弘基氏が「読谷山花織産地の振興策を探る」と題して講演をしました。
 その中で、読谷山花織は将来的に大変有望であり、全国の産地を相手に十分競争しうる力を持っている。ここ数年の製品の質の向上には目を見張るものがあると述べたあと、読谷山花織が全国的にはまだよく知られていないことを指摘し、いかに知名度を上げるか、いかに流通に乗せるかが大事であり、それには産地の企画力が大きな決め手となることを全国の産地の具体的な実例を上げながら指摘しました。
 さらに、全国どの産地にも比してこれほど、行政の力が入れられたような恵まれた環境は例がなく、それに甘えることなく、織り手や組合の努力が必要であり、他産地の良さを積極的に学び、技術の向上はもちろん、製品への創意工夫が必要であると指摘しました。又、伝統というと、昔のものをそのまま受け継ぐという狭い考え方をする方もいるが、伝統工芸というものもその時代~の要素をとり入れて発展してきて今日のものがあるわけであり、昔のものに固執したままでは発展はありません。
 伝統とは土着のものであり、その土地で暮らし、伝統の生き方と伝統の技術を受け継ぐ中で、時代の要素をとり入れたデザインと素材を工夫することです。ただ、そこにはしっかりとした伝統技術が受け継がれていなければ伝統そのものが根底からくずれてしまうということを忘れてはなりません。と講演されました。
 続いて講演された県立芸大の祝嶺恭子助教授は、植物染料の利点を実際に染められた糸を示しながら説明した後、読谷山花織の若い後継者に、伝統の技術を十分に身につけた上で新しいものへ挑戦してほしい、少し単調で物足りない感がするのは個性があまり出ていないからだ。古い良いものを模倣するのもよいし、自ら染色してみることも大事だと思う。作品に芸術性を持たせた魅力がなければなりません。と講演しました。
 この後、山内村長が「読谷の文化行政について」と題して産地報告を行いましたが、その中で、人間の歴史は文化創造の歴史であり二十一世紀の子孫に私たちが残せるのは文化と平和である。読谷村は、村づくりの基本に文化村をかかげている。個人と同様に自治体もより個性的に、より大きな可能性を発揮して生きる事が最もすばらしいことです。読谷においては伝統文化を柱に文化村づくりということです。文化、物を大事にすることは人を大事にすることだということです。そして村づくりも究極的には人を大事にする社会づくりだと考えます。と述べました。
 つづいて、全体討議では参加者からの質問に講演者が答える形で進められ、伝統工芸の抱えている様々な問題について話し合われました。

※写真「読谷山花織の振興に貴重な意見が出されたシンポジウム」は原本参照

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