年金よもやま話し 団塊の世代が損するのか
戦後すぐの昭和二十二、三年のベビーブームに生まれた人達は、今、三十六、七歳、いわゆる団塊の世代というのを形作っていて、人口ピラミッドを見ても、そこのところだけピョコンとふくらんでいます。この団塊の世代は、学校に入るのにも、就職するのにも、結婚の相手をみつけるのにも競争が激しくて随分苦労してきました。そして、老後を見やると、年金をもらうのにもお仲間が多過ぎて、「ほんとうにもらえるんだろうか」と疑心暗鬼になる人もいるのではないでしょうか。
「今度の年金改正では、年金額は下げられて、保険料はどんどん上げられる。やっぱり団塊の世代は一番損だ。」とあきらめの表情ですが、ほんとうにそうなんでしょうか。今度の改正で恩恵を受けるのは団塊の世代なんだと言ったら、「エッ」と驚かれるでしょうが、まあ聞いて下さい。
二十一世紀の前半、団塊の世代が年金をもらう頃が年金制度の一番苦しい時期です。今の制度を放っておけば、この一番苦しい時期を乗り越えることはかなりむずかしいでしょう。この頃に年金財政を支える側にいる、団塊の世代の子供とか孫にあたる世代が、保険料負担を投げ出す事態もないとは言えません。負担が重くなり過ぎるだけでなく、今のままの制度を変えないでいると、年金をもらう側の人達のほうがずっと楽な生活になるような、そんな設計になっているからです。
これを改め、年金をもらう側と、それを支える側のバランスがちゃんととれるようにすれば、保険料を負担するのに納得がいくでしょう。つまり年金がもらえなくなるなんてことを心配する必要はなくなるのです。
「団塊の世代の人に安心してもらうための年金制度の見直し」これが今度の改正のねらいです。