車に乗ったらシートベルト。これは車社会の常識です。道路交通法では、自動車を運転するときは、高速道路だけでなく、一般道路でもシートベルトを着用しなければならない、とされています。また、ドライバーや助手席同乗車がシートベルトを着用しないで車を運転すると、ドライバーに対して行政処分点数一点が付加されることになっています。
しかし、車を利用する人の中には、いまだにこうしたきまりやシートベルトの機能や目的について理解していない人が少なくありません。
シートベルトがいかに大切なものか-ここでもう一度考えてみることにしましよう。
時速六十キロの激突は四階からのダイビングと同じ。
衝突事故を起こした車は、いったいどのくらいの衝撃を受けるのでしょうか。
仮に四階建ての建物の屋上に立ってみたとします。高さは約十四メートル。そこから地上に飛び降りて、命が助かると感じる人はそう多くないことでしょう。
時速六十キロで走る車が固定された壁に垂直に激突したときの衝撃は、この四階建ての屋上から車ごと真っ逆さまに落ちたときの衝撃と同じです。
自分は安全運転を心がけているから大丈夫と思っても、反対車線の車がいきなり飛び出してくることもあるのです。
車の運転は常に危険と隣り合せ、命綱としてのシートベルトがいかに大切なものであるかが分かります。
侮るな運転開始後の三十分
ちょっと近くまで買物に行くだけだから、子供を幼稚園まで送るだけだから……。といって子供を助手席に立たせたり、シートベルトを締めないお母さんをよく見かけます。
しかし、死亡事故発生までの時間を調べてみると、出発して三十分以内の事故が全体の六十%近くを占めています。ちょっとだからという心のスキが大きな事故を呼ぶのです。シートベルトで身も心もしっかり締めて下さい。