読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1987年4月発行 広報よみたん / 7頁

※続き。 憲法の理念に立ち「平和宣言」村民とともに21世紀を展望するムラづくりを推進 昭和62年度施政方針 四、本年度の実施事項

③ 沖縄新農業構造改善緊急対策事業

 沖縄の農業は地理的、自然的条件の制約や生産基盤整備及び技術水準の立遅れ、経営規模の零細性等により本土農業との格差は大きい。これまで農林漁業構造改善緊急対策事業(一次構)、農業構造改善緊急対策事業(二次構)、農業構造改善モデル地区整備特別対策事業(モデル農構)等々により生産基盤の整備を行ってきたところでありますが、これらの事業の成果と反省を踏まえ、地域農業の組織化、農用地利用の適正化、生産技術向上の推進、あわせて亜熱帯の地理的特性を生かした農業を振興していくための事業で本年度はその計画を策定してまいります。

④ 畜産振興

 畜産関係につきましてはこれまで畜産施設の団地化を推進してまいりましたが、畜産を振興していくための生産組織の強化や優良種生産、畜産経営及び種畜の飼養管理向上並びに農家交流を深め畜産業を発展させるために畜産まつりを推進してまいります。

⑤ 漁業生産の振興

 復帰後急速に進められた漁港施設の整備や定置網の設置そして魚礁の設置やその他の機械等の導入により近代化がはかられてまいりました。しかし、漁業をとりまく環境にはまだまだ多くの課題もあります。
 本年度は漁業用無線の装備と定置替え網の購入補助を実施するとともに、第八次漁港整備計画の初年度にあたることから漁家の意向等を充分反映させた計画を策定し新しい時代に対応していく漁業の確立をめざしてまいりたいと思います。

(3)社会福祉の増進のための施策

 福祉行政は、総合福祉センターを活動拠点に社会福祉協議会を基軸として各種福祉団体、ボランティアさらには地域住民の協力を得て様々な形で活動が展開されております。本年度も多くの村内外の方々の深い御理解のもとに各種福祉団体を育成し、老人福祉、心身障害者福祉、児童・母子福祉、生活保護世帯の更生指導等の福祉行政をすすめてまいります。
 老人福祉につきましては、十人に一人が老令化人口といわれている高齢化社会の今日、年毎に増加する一人暮らし老人や寝たきり老人などの介護を要する老人に対処するため、老人の安否を確認するためのインターホーンや福祉電話の設置及び健康飲料の給付、日常生活を営めない老人のための家庭奉仕員や介護人の派遣、老人保健事業としての訪問診査等を実施し、きめ細かな在宅福祉サービスを実施してまいります。また、特別な介護を要する老人のため特別養護老人ホームの設置も国・県にはたらきかけてまいります。一方、健康で生きがいのある老後の生活を送っていただくために老人クラブや各種サークル活動、ボランティア活動等を育成強化してまいります。
 身体障害者福祉につきましては、各種事業とあわせて心身に障害をもつ人達に働く場と学ぶ場を提供して自立更生と社会参加を促す「よみたん福祉作業所」の運営を助成するとともに村民の善意を得て障害者の福祉増進をはかってまいりたいと思います。
 精神薄弱者(児)の福祉につきましては、通所授産施設「読谷かりゆし学園」が父母の会を中心として創立されてから四年目を迎え、これまで作業棟や農業実習園の整備を助成してまいりましたが、自立と社会性を養うために日々頑張っており、本年度もその運営を助成し活動の一層の充実を推進してまいります。
 児童及び母子福祉につきましては、保育に欠ける児童の福祉の増進をはかるため保育所の健全な運営に努めるとともに障害児のための母子通園保育事業の「ふくぎ」の運営助成をはじめとした障害児保育を推進してまいります。また、母子寡婦福祉会の育成強化と母子福祉資金の貸付等諸制度の活用を促進して母子寡婦福祉の向上をはかってまいります。
 村民が健康で明るい生活を送れることが福祉の究極目標であり、村民の健康づくりの事業も重要な事であります。疾病の早期発見のための住民検診の受検率の向上、老人保健事業や母子健康事業を推進し、あわせて各種の予防接種等を実施してまいります。また、健康管理センターとしての診療所の機能の拡充に努めるとともに人間ドックや職場検診、そして病気の早期治療のために他の医療機関と連携を密にした地域医療の確立に努め、村民の健康の維持増進をはかってまいりたいと思います。

(4)生活環境の整備に関する施策

 村民が健康で文化的な生活を亨受し、明るく住みよい村となるためには生活環境の整備が最も基本であり、その具体的な施策としまして次のような事業を実施してまいります。
 生活の基本となります上水につきましては数年来給配水管の布設や配水池等の整備をしてまいりました。本年度も南部地区の人口増加にともない送配水管施設を整備するとともに給水管の切替工事を計画しております。また、リゾート開発にともなった送配水工事も予定しております。一方村全域における人口増加(三万人以上)にともなって上水の安定供給をしていくために水道事業変更許可のための作業も実施してまいります。
 道路につきましては、骨格的道路を形成することとなる水釜~大木線の用地購入を継続していくとともに返還道路であります長浜後原~座喜味城線、海岸線道路等の用地購入を予定しています。工事としましては渡慶次~波平線、高志保~宇座線、渡慶次四号線、高志保五号線、座喜味十二号線、大湾~比謝境界線、その他国体関連の道路や生活に密着したコミュニティー道路等を計画しております。また、現在の国道五八号の渋滞を解消するためのバイパス道路については国・県との調整をはかりつつ促進してまいりたいと思います。
 排水路の整備につきましては、読谷飛行場からの雨水処理の基本的施設である楚辺~都屋排水路の整備が五年目に入ります。さらに古堅遊水池からの排水路を整備して古堅地区の排水不良の解消につとめてまいります。一方、排水問題の抜本的な解決である下水道問題は昭和六十年度に「読谷村生活排水処理基本調査」を実施し、読谷村としての方向性も定まりつつあり県との調整を行っているところでありますが、将来に向けて長期にわたる事業となることと、住民の理解と協力なしでは成立できない事業であります。今後村民ぐるみで下水道問題を検討していく組織づくりを推進してまいりたいと思います。
 公園整備事業につきましては、座喜味城跡公園が五年目に入り用地の購入とあわせて園路広場や修景施設の工事を行います。残波岬公園は四年目に入り、修景施設や休養施設、便益、管理施設等の工事を実施してまいります。一方、古堅地区土地区画整理地域内の児童公園の整備も予定しております。
 集落の総合的整備事業としてはこれまで渡具知、宇座、儀間において復帰先地公共施設整備事業を導入してまいりましたが、一昨年から喜名地区において移転先地公共施設整備事業が実施され、本年度も道路・排水・水道等の基本的施設が整備されることになります。この事業は米軍基地のために元の部落に帰れず過密化を余儀なくされているところの総合的な再開発となる事業で十年の長期にわたる事業となる予定であります。
 住宅及び住宅地につきましては、これまで村営住宅や県営住宅が建設されてきましたが、昨年度からの継続として瀬名波地区に十二戸の村営住宅が建設されます。一方、大木地区の土地区画整理事業は読谷村市街地形成上重要な位置にあることから周辺地域を含めた基本的A調査が行われ、本年度は事業化に向けての地元の体制がためを行ってまいります。
 交通安全、防犯対策につきましては、道路の屈曲部や見通しの悪い交差点への反射鏡の設置、危険な道路箇所への防護棚の設置等を実施するとともに交通安全推進協議会を中心に村民ぐるみの交通安全運動を推進してまいります。夜間通行の安全及び犯罪の未然防止に大きく貢献してきた防犯灯につきましては、これまで四年間にわたり一六〇余基を設置してまいりました。本年度もさらに継続して設置し、明るい地域づくりをはかってまいります。
 衛生環境につきましては、家庭ゴミの減量化と生活排水処理の適正化を促進し、あわせて野犬や衛生害虫の駆除及び火葬場焼却炉の改修につとめ衛生環境の保全に努めてまいります。
 消防行政につきましては、これまで消防機械器具や消防水利の整備拡充並びに人的消防力の強化に努めてまいりました。本年度も二基の防火水槽と七基の消火栓を設置し、指令車を更新して初動体制の強化をはかることによって消防行政の一層の充実強化を促し、村民の生命と財産を守るために努力してまいります。

(5)地場産業及び商工観光の振興

 これまで村民が培ってきた伝統工芸や地域特産品は、地域を特徴づける大きな要因となり、県内外へ広く知られるようになりました。この工芸品や産品の付加価値をさらに高め、地域の経済を活性化させるために生産者はもちろん商業者の役割がかなり重要になってまいります。地域の文化や産物と観光を一体化させていくことがこれからの読谷村の課題となります。そのためにもこれまでの諸施策をますます発展させていくとともに新しい展開を推進してまいります。

※文字数制限越え。続く。

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。