本格的な操業シーズンを迎えて読谷村漁業協同組合(屋良朝彦組合長)では、早くも例年にない活気を見せている、連日四百㎏から多い時には四屯近い水揚が続き、朝のセリ市場では人出が多くあわただしい。
この活気の原因は、もちろん連日の大漁にもよるようだが、組合長を先頭に組合員自らが漁業への意欲を見せているのも大きい、新しい漁法への挑戦や、長期計画を展望し、具体的な試験を試みている、今年は、これまでの定置網漁に加え、パヤオ(浮漁礁)の設置も行われ、二七名の組合員がパヤオ部会(新里光雄部会長)を五月十七日に発足するなど、組合員のやる気は十分とのこと、中には、六七才の組合員が、持ち舟のサバニを大きい舟に買い替えるほどの意気込も見せているとか。
屋良朝彦組合長は、「これからの漁業は、とる漁業(漁船漁業)から増養殖をしていく漁業にならなければならない。沖縄の漁業資源はまだ十分あるといわれているが、資源がなくなってからでは遅い、早いうちに将来の展望をしなければ、自然まかせの漁業-収入の不安定という漁業従事者の宿命をのがれることはできない」と話し、「今、組合員、特に青年部の皆さんが、大変やる気を出して頑張っている。新しい漁法を研究するためには、若い人をどんどん本土などへ研修にも出したい。将来展望はとても明るいですよ。」と目を輝かせていました。
やる気を見せている青年部二七名を率いる儀間重隆青年部長。
「今、ヒメジャコとサザエの養殖をこの夏から始め、二~三年後には収獲できる見込み、その他の魚種についても養殖の検討していく予定ですし、これが、成功すれば、計画出荷ができ定定した収入が得られると思います」と話し、夢は大きい。それに加えて、最近、若い組合員が増えてきていることも明るい材料のようです。
組合ではこうした組合独自の経営努力の他、村役場との深いつながりの中で役場からの補助(63年度は、大型定置網船のエンジン買い替、船の巻上機、パヤオ設置等の補助)が大きな支えになっていることを大変喜んでいます。
又、読谷でのリゾート開発ともよい関係をつくり上げて相互に発展していきたいと語っています。
就任から一年
漁業長に聞く
屋 良 朝 彦
昨年六月、村漁協長に就任した屋良朝彦氏、就任から約一年、若く、バイタリティーにあふれた漁協長に登場してもらいました。
● ● ●
「小さい頃から海が生活の一部になっていたし、ほとんど漁業一本で暮らしてきました。本土で遠洋漁業の経験もある、とにかく根っからのウミンチュです。」
昭和二七年生れの三六才。
やけた肌にたくましい体つき、二〇七名の組合員をまとめる統率力に加えて若くバイタリディあふれる行動力に組合員の信頼も厚い、「現在組合員は二〇七名(内正組合員八○名、大型定置網漁従事十七名、パヤオ部会二七名)ですが例年にない活気を見せています。
組合の経営管理、将来展開、組合員の生活の安定、労働条件の改善、後継者の育成が組合の大切な仕事ですし。そのためには将来を先取りしなければならない。
若い組合員が、いろいろ勉強して頑張っているのがとても頼もししいし、できるかぎりの援助をしていきたい。」と若い組合員に大きな期待を寄せる組合長、セリ場の活気に思わず笑顔をうかべていました。