読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1988年9月発行 広報よみたん / 5頁

第二回老人の主張大会から 老人と生涯学習 高志保老人クラブ会長比嘉徳次郎

 わが日本の中でも、特に沖縄は今、高齢化社会に向って年々急速に進行し、老齢人口が総人口の一割を占めています。
 人生五〇年、七〇年といわれていたのも最近のように思われましたが、今や人生八○年の時代にもなりました。こうして、寿命が伸びたのは、現代医学の進歩と食生活が良くなったことと、老人それぞれが、生きがいを求めて趣味やサークルの中で活躍され、生活にもゆとりが出てきたことで沖縄の平均寿命も伸びてきたことと思います。
 老人会への参加も満六五才の初老を迎えた時に入会しないといけません。人生はこの世に生をうけて義務教育に始まり大人になってもそれぞれ違った中で教育を受けよりりつぱな社会人として育っています。
 私は老人会組織の活動も生涯学習の一環であると思います。
最近のマスコミで老人ボケ(痴呆症)についてよく報じられていますが、老後の生きがいとは何かボケ防止はどのようにすればよいか、この世に生きているねうちは、生きている幸福感とは、高齢化社会の中でただ何もせず社会の恩恵にたよって人生を終るか……。今考えてほしいのは、健康なお年寄りであれば、自分の老後は自ら切り開いていくという自立の精神が要求されるということです。生きがいのある老後には、仕事をしているという実感、つまり働けるうちは働いた方がよいという自覚も大切ではないでしょうか。
 老人が長生きすることは喜ばしいことではあるが、しかし長生きすることが幸せとは限りません。子や孫と共に会話の中で、美しく年を取り、趣味を楽しみ、たまには家族揃って出かけるのも生きがいのある老後と言えよう。又地域の若者との交流、ましては、若者に手を差し延べてもらいたい老人が私達の周囲に多くおられることと思います。
 「温古知心」すなわち「古きをたずねて新らしきを知る」がごとく老人と若者が語らう中に社会教育が生かされ、心のきずなが一層強くなっていくものと思います。
 さて、私は老人クラブに入会して二年になります。若いということが頭にあって老人という言葉にすごく抵抗を感じていました。
 部落でのしきたりと、入会しないで孤独な人生(老後)を送るわけにはいかないということもあり、皆さんと一緒に会の一員」にさせてもらい今ではすっかりクラブ活動にも慣れて、活動自体が楽しいものとなっています。又、経験も浅い中で役員もおおせうかり、クラブの推進役で頑張っています。
 私の一番の自慢は、体が健康であるということです。長年、軍作業に従事して四十年が経過しました。その中で一環してベーカーという専門職に従事してきたおかげで菓子作りは誰にも負けない自信があります。
 最近の話しに読老連の婦人リーダーより、菓子作りについて講習会の依頼がありました。いささかまよいましたが、皆んなの役に立ち、自分の人生をエンジョイすることにもなるならと引き受けることにしました。
 老人会には今日の一般会員が明日は先生になることもあります。それは経験豊かな人生観から来るもので、まさしく生涯学習の一つではないかと思います。
 人生八十年を「悔いのない人生」「生きがいのある人生」として送るためにも、老人会をささえ、社会学習の場として参加し、現代社会のおちこぼれ老人にならないためにも「今私達は何をやるべきか」
大きな視野のもとに住みよい地域社会づくりに一生懸命努力しようではありませんか。

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